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コラム
第96話:ユーザー企業にテクノロジ・リーダーは必要か?〜UISSの可能性を探る!
 コンサルタントという仕事柄か、経営者、経営層、CIOなどの方々とお会いすることが多い中で、すべての方々がIT人材に関して最優先事項として捉えられています。ITが経営を支える時代、さらに言うとIT人材が経営戦略策定にまで踏み込んで行かないと、競争力が確保できない世の中になってきたということです。
経営者の方々と話して
クリックすると拡大  このところの人材関係のキーワードが、UISSだということは間違いありません。おかげ様で弊社のコンサルティングサービスも好評をいただき、こちらのスケジュールの関係でサービス提供をお待ち願っている企業もあるほどになってきました。すべてがUISS+ITSSの活用アプローチを評価いただいてのものです。
 我々の導入手順は、UISS活用プロセスで明言されているように、要求分析から入ります。(第73話:UISS/ITSS V2の導入手順〜その1 導入アプローチ概要、第74話:〜その2 要求モデリング)要求分析では、各社の経営戦略、IT戦略、事業プランなどを見せていただくのと、社長やCIOを含む経営層の方々にインタビューを実施します。
 企業としてどのような人材を必要としているのか、また目標を達成するためにどのようなタスク・プロセスが必要なのか、それを受け持つ人材の役割や責任範囲はどうなのか、という観点で、要件をモデリングしていきます。(図)
 このステップがないと、以降の成果物に対する「何故」に答えられません。すべての作業や成果物に影響を与えるこの要求分析は、大変重要な位置づけです。手順は74話で説明しているので、ここでは詳しく触れませんが、その中のインタビューで皆さんが口を揃えて言われることがあり、大変特徴的な内容ですのでご紹介します。

・社員に対して
 危機感が無い
 社会人としての常識に欠けている
 自社が置かれている環境や状況に無関心
 自らの役割を認識していない
 
・マネジメント層に対して
 受身
 適切な判断ができない
 部下を適切に指導できない
 優先順位がつけれない
 責任を取れない
 リーダーシップがない

コンピテンシーの欠如
クリックすると拡大  先の色々な問題は、ITスキルがあれば解決できるわけではなく、人間力についての本質的課題です。
 カッツ教授はスキルを次の3種類に分けて説明しています。(図)

・専門能力
 仕事をする上で前提として持っていないといけないスキル
・ヒューマンスキル(人間理解能力)
 仕事で成果を出すための実行力
・コンセプチュアルスキル(概念化能力)
 他者のレベルに合わせて物事を概念化・抽象化するスキル

 社会人としての常識のについては、家庭環境などにも大きく左右され、両親の考え方や育った環境にも大きく影響されると考えられます。ただし、この点は社会に出てからであっても適切なトレ−ニングを施すことによって、ある程度カバーできる部分でもあります。
 それ以外のものについては、仕事をする中での事象で勉強しながら体得していくイメージが強いと言えます。しかしながら、基礎知識に関しては、事前にトレーニングを受けて学んでおくことが前提になります。さらに、実際の仕事の中で、そのような状態に遭遇したときに、一番重要なのが直接的に接するマネジメントの存在です。マネジメントの適切なアドバイスによって、大きく踏み外すことなく経験しながらスキルを高めていくことができるのです。経営層が社員の方と四六時中話ができるはずも無く、一番大きな影響力を持つのは、当然ながら上司ということになります。
 そのメネジメント層の方々が育っていないというのが、経営者の方々が最も危惧されていることだと推測できます。
テクノロジ・リーダーは必要か?
 筆者自身が過去を振り返ってみると、ITサービス企業の中にいたせいか、ITスキルを持った人にあこがれ、目標としていたという感覚を持っていました。ところが、よく考えてみると、始めの3年くらいは本来の「テクノロジに長けた人」、つまりOSやDBを使いこなしている人を目標としていましたが、それ以降は「仕事のできる人」という定義に変わって行ったと認識しています。
 仕事のできる人とは、仕事をするための能力を持っているというテクニシャンではなくて、その能力を使って成果を出せる人、ということになります。分かりやすく言うと、他者の期待がどこにあるかを把握・認識し、その期待に応えることができ、HowではなくWhatを明確にできるリーダーシップがある人、社内コンサルができる人ということになります。
 しかし、ITエリアにいるわけですから、あえてそのような人をテクノロジ・リーダーと呼びたいと思います。テッキーではなくてIT戦略を立案実行できる人材です。テクノロジが何たるかの基礎が分かっていて、ITでそれぞれのビジネスをまわしていくことができる人、それがテクノロジ・リーダーです。本来は、その方がCIOとなるべきかもしれませんが、ユーザー企業の多くは、IT関係ではない方がCIO職に就かれるケースが多いのが実態だと思います。そのような場合にいて欲しいのが、テクノロジ・リーダーです。
一つ一つ明確にして積み上げていくのが人材育成
 自社にはできるメネジメントがいない、と嘆いていても物事は好転しません。経営者の一番の責務とも言えることが後進の育成です。人の育成は時間がかかりますが、だからこそ早く着手して必要とする人材のモデル化をし、何ができていて何ができていないかを明確にしていくことが重要です。To-Beを定義することによってAs-Isとのギャップが明確になり、どこをどのように埋めることを優先的に進めればいいかも明らかになります。
 できるできない、大変か大変でないかということではなくて、UISS、ITSSが用意できている現在において、企業には今すぐ進めないといけない社会的責任があると思っています。
▲▽ 関連サイト ▲▽
第73話:UISS/ITSS V2の導入手順〜その1 導入アプローチ概要
第74話:UISS/ITSS V2の導入手順〜その2 要求モデリング
登録:2011-01-30 15:53:11
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