一連のスキル標準は、国が発表していることや、ドキュメント類の多さ、また量の多さに圧倒されて、手に負えないものだという印象が強く、今一つ利活用するまでに至っていない企業も多く見られます。また、手をつけてはみたものの先に進まないという声も聞きます。 今回はそれらにお応えして、子難しく考えなくとも、とにかくやってみるという方法での利活用の方法をご紹介します。
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発表間近、「UISS ver1.1」、「UISS有効活用ガイドブック」 |
まもなく経済産業省より、「UISS ver1.1」及び「UISS有効活用ガイドブック」が発表される予定です。 ITSSは、発表当初より理解の仕方が企業や人によって異なり、利活用するまでに至らないケースや、手をつけてはみたがスキル診断程度で終わってしまって効果が出ない、という状況を生み出しました。これらのように普及を妨げたのは、活用ガイドが無かったことが一因として考えられます。 このような状況を目の当たりにして、UISS策定委員会は早々に有効活用ガイドブックの策定を決めています。UISS策定委員会の下位に、UISS策定WG、及び有効活用SWGが設置され、それぞれ1年近くかけてver1.1への改訂と、有効活用ガイドブックの策定を続けてきました。 |
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取組みの現状 |
ITSSやUISSの利活用においては、「経営戦略や事業戦略を元に進める」という方針が貫かれています。また、経営層も積極的に関与し、リーダシップを発揮して推進すること、という内容もドキュメントはもちろん、関係者によるセミナーなどでは頻繁に語られます。 しかしながら、筆者はこのメッセージが逆に足枷になっているのではないかと思われる場面に、幾度となく遭遇しました。利活用の推進責任者にとって、先のメッセージは理解できるが、具体的なHowに結びつかない、ということになるようです。
・人材戦略(人材育成)に、どう経営戦略や事業戦略を結び付けて行っていいか分からない。 ・自社の人材像がピンとこない、人材像を具体的に固定できない。
自社に経営戦略や事業戦略が無い訳ではありませんが、このように人材像として落としていくことに慣れていないので、具体的な進め方が分かりにくいのです。 スキル標準のようなものを、初めて取り込もうとしているわけで、過去にそのような経験があるはずもなく、ある意味当然と言えることかもしれません。 ここで、我々のようなコサルタントが支援すれば、かなりスムーズに行くことになりますが、すべて自分たちでまかなおうとすると、時間がかかり多くの方々を巻き込み、逆にコストも増大してしまうわけです。 |
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「トップダウン型アプローチ」と「問題解決型アプローチ」 |
それでは、先にあげた問題点により前に進まない状況の場合、どうすることが考えられるでしょうか? 「現状を知る」というのは大事なことですが、短絡的にスキル診断をしても意味はありません。そうではなくて、せっかくUISSから機能のフルセットが提供されているわけですから、これを使って現状組織の機能的過不足を見極めることが先決です。 先の「経営戦略から入る」というのは、まさしくトップダウン的思考になるので、「トップダウン型アプローチ」と呼びますが、組織機能の検証から入るこの方法は、「問題解決型アプローチ」と呼びます。(図参照) 機能検証をしてみると、本来持つべき機能が無かったり、実際に必要の無い機能が存在していたりと、現状をかなり可視化することができます。UISSの機能にはスキルがサブセットとして設定されていますから、その機能を実際に実行していくためのスキルセットが明らかになるわけです。
〜その2に続く |
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登録:2011-01-30 15:53:22
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