2005年2月よりこのコラムを書き始めて、ついに100話に到達しました。今年に入るまでは1週間に1度の割合で書き続けて、その後は2週に1度くらいのペースを続けています。できるだけ分かりやすく現状や最新の情報をお届けしようと、努力してきました。弊社サイトへのアクセス数も増え続けており、大きな責任を感じながらも、今後も同じ気持ちで継続していきたいと考える次第です。 UISS、ITSSの入りやすい利活用、今回は企業や個人の状況について書いてみたいと思います。
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企業のIT人材への強い関心 |
ガートナーの調査によると、日本のCIO職の2007年取り組み課題について、次のようにまとめられています。
1.IT人材の確保・育成・保持 2.ビジネスとITの戦略、及び計画の連携強化 3.ITガバナンスの改善 4.全社レベルの変革構想のリード 5.ビジネス成長を可能にするプロジェクトの導入
また、同じくアウトソーシングの目的については、以下の通りです。 1.人材不足の解消 2.高度なITスキルの活用 3.コストの削減 4.社内要員の戦略領域へのシフト 5.経営資源の選択と集中化
アウトソーシングは注目された当初、コスト削減目的が1位でした。それが現在は、人材やスキル不足の解消が先にきていることになります。 またJUAS(情報システム・ユーザー協会)のまとめによると、ユーザー系企業のIT部門について、次のような調査結果が出ています。
○IT企画力の必要性 業務課題を解決するための業務プロセス、及びシステムの企画を立てること ・ビジネス部門へのヒアリング ・課題抽出・分析 ・システム化の目的や範囲決めの設定 ・課題を解決するための業務・システム設計 ・システム化、及びプロジェクトの計画
○情報システム部門の企画提案力に対するビジネス部門の満足度 非常に不満・不満:39% 満足・非常に満足:9% 普通:48% あまり期待していない:4%
ここでも、ビジネス部門への提案力やシステム企画力を求められています。 |
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IT人材自身の状況について |
少し前のデータになりますが、日経ITプロフェッショナルで、IT関係社員の意識調査結果が発表されています。
○やる気を高め持続させることに直結する要因 1.報酬が上がる 2.スキルの伸びを実感する 3.顧客・ビジネス部門に感謝される 4.ビジョンや目標が明確になる 5.自分のスキルや成果について上司が認める 6.やりたい仕事を任される 7.手本になる人と出会う 8.上司等が意思決定する時のプロセスが明確に示される 9.主体的に仕事ができる権限を与えられる 10.与えられた仕事がチームや顧客等にどう貢献するかが分かる ○やる気を阻害している状況や制度 1.組織のビジョンや目標があいまい 2.興味を持てない仕事を任される 3.中長期的な自分のキャリアプランを描けない 4.自分のスキルが伸びている手応えがない 5.給与が低い 6.組織の重要事項なのに、誰がどんな理由でそう決めたのか分からない 7.自分への評価が低い 8.お手本となる人が周りにいない 9.与えられた権限が乏しい 10.自分の仕事が何に対してどう貢献できるのか明確でない
個人が注目しているのは、企業に関して、企業のビジョンや経営方針、上司、評価方法、報酬であり、自分自身に関しては、スキル、権限、やりがいなどと言えるでしょう。 |
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組織とIT人材 |
一方別の観点として、多くの経営者や経営企画の方が、異口同音に話されるのは次の点です。
○組織の柔軟性や総合力が落ちる視点 ・ユーザー企業ビジネス部門、ユーザー企業IT部門、情報子会社、ITベンダの役割分担、責任範囲が不明確 −「コア機能 VS 非コア機能」の切り分けの不適 −IT部門の企画・戦略機能への特化 ・否応無いトップダウンでのコスト削減要求 優先順位のない一律○○%カットなど ・現場の関係遮断や形骸化を促すSLAの導入・利活用
○IT人材に不足しているスキル ・上流工程、特に要求分析・機能分析・データ分析手法に関するモデリングスキル ・マネジメント能力・リーダシップ・コミュニケーション能力などのヒューマンスキル ・課題発見力、計画立案力などのコンセプチュアルスキル |
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人材モデル策定の必要性 |
以上、さまざまな観点で、企業とIT人材について浮き彫りにしてみましたが、その中から明確になるのは、経営マネジメント上いかに人材をとらえるか、また人材マネジメント上ではどうかということです。
○経営マネジメント 企業はビジネス目標を達成することが第1の目標です。そのために貢献してくれる人材を育成する、維持するために投資するということは言うまでもありません。 では、そのためにどういう人材モデルが必要か、その目標を頭を使って考える必要があります。99話でも述べた通り、人材モデルとは、企業におけるビジネス遂行上の役割・責任範囲を機能視点で明確にし、スキル定義によりその内容を具体化したものです。
○人材マネジメント 企業から見れば人材は財産であり、モチベーションを上げてパフォーマンスを最大化してもらう必要があります。To-Beである目標人材モデルを示すことによって、本人の現状(As-Is)とのギャップを明確にして、そこから育成計画をたてたり、仕事上のアサイン計画をたてることができるのです。 |
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▲▽ 関連サイト ▲▽
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・ 「企業を支える新たなITの視点 UISS (仮題)」今秋出版決定!
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登録:2011-01-30 15:54:26
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