ITSSなどスキル標準の活用には、人材評価の話が必ずつきまといます。しっかりメッセージせずに進めると、後々修復できない事態を引き起こすことになりかねません。 将来を考えた方向性を示すためにも、ITSSの「スキル熟達度」と「達成度指標」の考え方を正しく理解しておく必要があります。
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「スキル熟達度」と「達成度指標」の正しい理解 |
「スキル熟達度」と「達成度指標」の正確な理解をしないと、うまく人材の評価に結び付けることはできません。 「スキル熟達度」は、スキル領域という分類体系の中でスキル定義項目群として体系的に整理されており、一つひとつのスキル定義項目は「〜ができる」という形で表現されています。 一方「達成度指標」は、仕事の成果を評価するための指標です。
ITSS V2が発行されるまでは、スキル熟達度と達成度指標の両方が、スキルだと誤解していた方が多いという現状がありました。V2では、スキルはスキル領域に定義され、その熟達度合いをスキル熟達度と呼び、達成度指標は仕事の成果を評価するための指標であることを明確に定義してあります。 |
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スキル管理・経歴書とスキル熟達度・達成度指標の関係 |
過去から各企業が、IT人材の能力を管理する「スキル管理」にチャレンジしてきました。多くはプロジェクトに適材をアサインするために、各IT人材の持つスキルを事細かに管理するところからスタートしました。しかし、急速にIT技術は進歩し、スキル定義の見直し・更新が追いつかず、すぐに陳腐化して使えなくなってしまうということを繰り返してきました。 また、IT人材の経歴や実績は、別途経歴書や人事システムの中で管理されてきました。
これらに当てはめて言うと、今までのスキル管理をしてきた内容がスキル熟達度の視点に当たり、経歴書が達成度指標の視点に当たることになります。 別の言い方をすると、スキル熟達度は仕事に必要なスキルを定義してあり、達成度は仕事の結果、たとえばプロジェクト終了後の成果への貢献度を表すことになり、達成度指標はその評価のための指標ということになります。 |
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スキル熟達度、達成度指標を、どう評価に活用するか |
スキル熟達度として提供されているスキル項目や知識項目は、スキル領域のカテゴリで整理・分類されて定義されています。この内容は、ツールやテストでIT人材のスキル習熟度として評価することが可能です。 一方、達成度指標は、スキル領域で定義されているスキルを発揮して、いかにビジネスに貢献できたかを評価するためのものです。業務経歴書などに書かれる内容をどうすれば評価できるかと同意ですが、これはツールやテストで評価するのはかなり難しい内容だと言えます。貢献度を文章にして一つひとつ確認していってもあまり意味がありません。 どのようなプロジェクトだったのか、その中でどういう役割を期待されており、果たしたのか、納期やコストについてはどうだったのかなどと、そのプロジェクト全体の中で、何ができてどのような結果だったかを総合的に判断する必要があるのです。それを、一文一文切り取った文章で聞いていっても判断するのは難しいでしょう。 アセスメントの熟達者が、プロジェクト報告書のようなものを見ながら、本人に一つひとつ確認していかないと、実際のところは分からず、正しい評価はできません。その報告者や、申請書、経歴書などの雛形が、IPAから「評価ガイドライン」として提供されており、この辺りの見解はかなりはっきりしたものになっています。 |
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▲▽ 関連サイト ▲▽
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・ IPA発行 ITSS評価ガイドライン
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登録:2009-01-18 17:19:52
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