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コラム
第134話:ユーザー企業とITサービス企業の役割・責任範囲・持つべき能力を改めて問う!
 コスト減主体でアウトソーシングが進み、多くのIT系業務がユーザー企業からITサービス企業に移管されてきました。「システム企画」という体のいい形で人数も絞られ、当然のことながらスキルの空洞化が進みました。
 ここにきて、「金食い虫のIT」から「企業競争力を高めるためにはITが不可欠」であることを、多くの企業が気付き出しています。 「IT戦略」の必要性を見直す時期に来ているのです。
 改めて、ユーザー企業とITサービス企業の責任範囲、役割分担、持つべき能力を定義してみます。
プロジェクト発足までの流れ
クリックすると拡大  この図は、一般的なシステム構築プロジェクト実施に至るまでの流れを示しています。左側の赤色の部分がユーザ企業、右側の青色の部分がITサービス提供事業者です。

■ユーザー企業
@経営戦略や現場の課題に基づき、経営層、経営企画部門を主体にシステム化要求、改善要求をまとめる。
AIT部門が、システム化要求、改善要求を受け、RFPにまとめ、ITサービス提供事業者に提案依頼をかける。

■ITサービス提供事業者
B顧客担当部署がRFPをもとに提案書を作成する。
Cスケジュールや人員体制、価格などが提案書に盛り込まれるため、経営層の承認を得る。この間、専門部署によるリスク分析などが入るケースもある。
■ユーザー企業

DITサービス提供事業者からの提案を受け、実現方法、スケジュール、体制、価格などの評価を実施する。
E内容を吟味の上、承認は経営層が行い、結果をITサービス提供事業者に伝える。

■ITサービス提供事業者
Fプロジェクト開始の決定を受け、社内、パートナを含めて体制を整える。
プロジェクト発足以降の流れ
クリックすると拡大  この図は、システム構築プロジェクト開始以降の各フェーズの流れと、それに関わるユーザー企業とITサービス提供事業者の役割を示しています。先ほどと同様、左側がユーザ企業、右側がITサービス提供事業者を示しています。また、中央の各フェーズに沿ってグレーで表示している部分は、両者の役割の広さを表しています。

 ユーザー企業の経営層にとっては、要件やシステム全体像をまとめる「@システム分析」、そして特に運用開始後の「E評価・改善」フェーズが重要であり、大きく関わる必要のあることが分かります。それに対して、ITサービス提供事業者の経営層は、関わる場面が極端に少ないことが実情で、強いて言うなら何かトラブルがあった時のみ引っ張り出されるというイメージがあります。
ユーザー企業に必要な能力
クリックすると拡大  これらの流れや役割の中で、ユーザー企業に必要とされる能力を以下に示します。

■経営層
・事業戦略からIT戦略を策定できる能力
■IT部門
・エンドユーザーの要求、考えを分析する能力
・要求から必要な機能を導き出す能力
・経営戦略、エンドユーザー要求からRFPを作成する能力
・提案書を正しく評価する能力
・プロジェクトマネジメント能力
・日々のシステム運用から改善点を提案できる能力
・障害時の影響を最小にすることができる判断力とリーダシップ
ITサービス提供事業者に必要な能力
クリックすると拡大  次に、ITサービス提供事業者に必要とされる能力を示します。

・ユーザー企業の要求に合った提案を作成する能力
・最適な実現手段を選定する能力
・プロジェクトマネジメント能力
・新しい技術を理解し実装できる能力
・障害を起こさないための仕組み作りができる能力、予知能力
・障害対応能力
・状況把握、改善提案ができる能力
・あるべき姿を策定し、現状とのギャップからIT人材戦略、育成計画をたてる能力
登録:2009-02-15 21:14:07
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