スキルスタンダード研究所は、各業界へのスキル標準の活用・推進、プロフェッショナル人材育成に向けたコンサルティングサービスを提供します。
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コラム
第31話:「ITスキル標準」に対するメディアの役割
IT情報誌の役割に疑問を持っています。私の感覚では、しがらみがあって真実を書かない、書けない、また記者の姿勢や能力にも疑問があります。
何故このコラムを週1のペースで書き続けているか。
このコラムを週1のペースで書き続けて31話まで来ました。内容も普通のコラムではなく、続いている導入コンサルティングの実績を踏まえて、現実論からの詳細な話を書き続けています。このコラムをプリントアウトして冊子にし、マニュアルにされている方もいるほどです。そういった姿勢には頭が下がりますが、それはともかく、毎週かなりのボリュームを書けるのは、国がらみの仕事が入ってきて現在は4社ですが、多い時は6社を並行してコンサルティングしていたという誰にもまねできないリアルタイムの情報があるからです。多くの「ITスキル標準」に関るいわゆるIT人材育成担当者は、自分の過去の小さな経験の上に立って机上で理解したつもりになっている、という感じがします。診断ツールなどの手段から入るのではなく、正しい手法に基づいてコンサルティングを実施してみると、企業ごとに考えやビジネス・モデルが千差万別であることを痛感します。そこで初めてどのように導入すればいいかという思考に入ることになります。この過程を何度も何度も繰り返さない限り、机上の空論では何も起こりませんし、指導することなどとてもできません。
少し「ITスキル標準」をかじった教育ベンダーやコンサルまがいが、理解度の低い担当者を相手に、あまり役に立たないものを提供しているというのが実態に近いと思っています。私の知る限り、「ITスキル標準」を導入していると言っているコンサルタントは、殆どが「ITスキル標準」をよく理解しておらず、独自の偏った方法であまりに理解に苦しむようなものを作り上げています。私がコンサルに入る企業のうち何社かは、過去にそういうコンサルを受けて、それが使えないことを実感されて私の元に来られたというケースです。これは、貴重な人材育成の費用をドブに捨てたも同然です。
正当な手法で、導入された側も全て説明を受けて理解ができる、そして導入後も継続して運用できる、そういう人も育っている、こういう形にできなければ「ITスキル標準」を導入したとは言えません。
間違った安易な導入に手をつけてしまう企業が多く、人材育成や投資をビジネス側面から上手く捉えられていないケースが目立つ中で、これから検討される方々にそういった間違いをして欲しくないから、もっと言うと理解できない担当者や経営者のおかげでエンジニアが不幸にならないように、気付いていただきたいために、このコラムを書き続けています。
企業とエンジニア個人
以前から書いていますように、企業の間違った「ITスキル標準」導入が、個人をネガティブな方向に向けてしまっています。情け無いことですが、人事制度に「ITスキル標準」をそっくりそのままの形で取入れた企業、もしくは取入れようと検討を進めている企業が、かなりの数に上っているようです。企業のビジネス・モデルや戦略はそれぞれ異なります。それらの内容によって目標とするスキルベースの人材像も、当然ながら異なってきます。熾烈なビジネス競争の中で勝ち抜いていくためには、その企業の特色や強みを持つ必要もあります。なのに、辞書的位置づけである「ITスキル標準」をそのまま導入しますか?そのまま導入すれば、ビジネス上必要なスキルもそうでないスキルも関係なく全て取り込むことになります。ビジネス貢献をする人材が企業にとって必要ですし、そのために人材投資をするはずです。そのことと大きく矛盾します。自社ビジネス・モデル、戦略から「目標人材モデル」を策定することをまず進める必要があります。それをやらずに、人事制度にそのまま当てはめたり、診断ツールを使うことは、それを進めた担当者より、指示して承認した何も理解していない経営者に責任があります。そのことで、エンジニア個人がどれだけモチベーション・ダウンしているか知れません。また、経験が少なくて視野の狭い人材育成担当の多いのが現状ですが、そういう担当しかアサインできないのも経営者の責任です。
企業は「ITスキル標準」をキーワードとして捉えて何とか取入れたいと考え、一方エンジニア個人は、失敗した例や悲惨な状況を耳にし、ネガティブな心境にある、というのが現在の状況です。
IT情報誌に期待する役目
「ITスキル標準」について真剣に取り組もうと考えているのでしたら、誰であってもこのHPを探し出し、内容に賛同して提供されている情報などを有効に使うはずだ、ずっとそう信じて続けています。
つい最近でいうと、このHPをきっかけにマッキンゼーが取材に来ました。三菱総研の顧客情報誌のインタビューも受けました。また、「コンピュートピア」誌も10月号で人材育成の特集をし、私の考えなどを数ページにわたって掲載されることになっています。次に、先週もHPを見てIDGの方が来られ、「ITアーキテクト」誌月刊化の話を持ってこられまして、アドバイザリ契約と執筆の依頼をお受けしました。今週は翔泳社と三菱電機の方が取材のためにお出でになりました。このコラムの内容を完璧にトレースしておられ、的確な質問をされていました。
これらの殆どは、このHPを閲覧され内容を吟味の上で、取材の申し込みをして来られました。私もアクセスログから、事前に大体の状況は掴んでいますので、来られるのが予想できています。そして全員が私の話しに共感し賛同して帰られます。
私は、できる限りメディアへの対応を優先しています。先ほどのような企業の状況では、エンジニアが正しい情報を得られないからです。「ITスキル標準」はエンジニア個人のためのものでもあるのです。IPAの啓蒙活動は企業が中心ですし、ITSSユーザー協会の会員で盛んに活動いただいている方も、企業会員が殆どです。これでは、エンジニア個人に対して正しく新しい情報を提供できません。IT関連情報誌から情報提供するしか無いと考えています。しかし、大抵の大手の情報誌は「ITスキル標準」を上手く捉えられていません。私は、どこも本当のことを伝えきれていないし、書くと問題になるしがらみや関係から、フォーカスポイントが絞りきれていないと感じています。
有名どころがだめなら、どんなところでも正しく伝えることができるなら情報提供は惜しみません。
「コンピュートピア」誌や「ITアーキテクト」誌が、そういう役目を担ってくれることを願ってやみません。
登録:2011-01-30 15:39:25
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