今回は「ITスキル標準」を企業に導入する上において、何を目的とするか、どのように考えるか、などをまとめています。導入をお考えの皆さんには必ず参考になる内容です。
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「ITスキル標準」の使い方 |
どのように使うかは大きく以下のパターンに分れます。 ・企業内 当然ですが、企業のビジネスモデルや戦略はそれぞれ異なるために、共通フレームワークであり、辞書的位置づけである「ITスキル標準」をそのまま使うことはできません。 企業が独自に1から考えるのではなく、「ITスキル標準」をベースにすることによって、「目標人材モデル」の策定がし易くなるのです。 ただし、派遣業・人材紹介業・コンサルティングファームなどは、目標人材モデルというよりも、それぞれ個人が「何ができるか」を中心に捉えることになるため、「ITスキル標準」をそのまま使用することも可能です。 ・企業間 主に「調達」目的で使われることが想定されます。 この場合は「何ができるか」が中心になるため、「ITスキル標準」を共通フレームワークとしてそのまま使用することが効果的です。 ・個人 属している企業とは関係なく、ITサービスのエリアで現在の自分にどのような価値があるのか、何処に位置づいているかを、「ITスキル標準」のフレームワークの中で考えることは大きな意味があります。また、さらに強みを伸ばしたり、将来のゴールを設定し自らのキャリアをデザインすることが、モチベーションアップにもつながります。企業で仕事をする上でも、自分の価値、キャリアパス、ゴールを認識することで、その仕事の中に自分の将来にとってどのような価値があるかを見出すことも可能です。
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企業導入の考え方 |
企業で導入する場合は、まずどのような目的で導入するのかを明確にすべきです。 以下に目的を示しますが、理解不足からか現状取組んでいる企業の目的は、あまり絞られておらず、不明確なように見えます。
・ビジネス・マキシマイズを前提に、企業にとって必要な人材を育成する。 ・他企業から技術者やシステムを調達するときの指標とする。 ・技術者個人のスキルアップを促す。
人事制度や評価に使うのはあくまで手段であって、目的は企業にとって必要な人材を育成するため、また貢献度を評価するためのものであるはずです。
あらゆる企業が3つの領域における成果を必要とします。 ・直接的な成果の領域 ・価値の創造と価値の再認識の領域 ・明日のための人材育成の領域
明らかに「ITスキル標準」を導入するのは、「直接的な成果の領域」のためではありません。結果として成果につながることを目標とするわけですが、成果は自らの組織の外にあります。「ITスキル標準」を企業に導入し、人材育成のために活用するとすれば、企業内に位置づく「価値の創造と再認識の領域」、及び「明日のための人材育成の領域」に照準を合わせるべきです。 一般的に使われている人事考課は、臨床心理学者や異常心理学者が治療用に開発したものです。うまくいっていないこと、つまり人間の弱みを診断するために人間を評価する、これらを考えると人材育成と評価は相対する位置にあり、「ITスキル標準」をどう活用するか、目的は何かを議論し明確にした上で導入を進めることが重要です。
また、人材育成を目的とした導入においては、一過性にならないためにも継続的に運用できるような仕組みや、その推進者を育成しておくことも大切です。 |
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登録:2011-01-30 15:30:12
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