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コラム
第61話:ITSS V2の真髄 〜その2
 ITSS V2がリリースされてもうすぐ1ヶ月になろうとしています。あいかわらず関連セミナーは満席であり、企業の関心は依然高い状態を保っているように見受けられます。今回は、今まで問題視されていたポイントに焦点を当てて、旧バージョンとV2の違いを説明します。
旧バージョンとITSS V2の違い 「スキル熟達度」と「達成度指標」
 第55話「公表間近、ITSS V2について」でV2になって何が変わったかを説明しました。次に、第59話「ITSS V2についての反響」には、様々な方々からの意見を集約して載せています。また、引き続き第60話「ITSS V2の真髄 〜その1」で、V2の骨子となる内容の説明をしています。今回は、今まで問題視されていた点にファーカスして、その違いを明らかにしていきます。

 旧バージョンでは、「スキル熟達度」と「達成度指標」の双方がスキルのように受け取れ、うまく切り分けができていませんでした。同じような言葉や数字が両方に登場して、何をどう理解すればいいか分からず混乱するという意見もよく聞きました。
 今回はっきりしたのが、スキルは「スキル熟達度」で定義されており、エンジニアがそのスキルを使って仕事をし、その成果を貢献度により評価する指標が「達成度指標」ということです。以前から説明をしている以下の内容が、V2ではっきりしています。

「スキル熟達度」
・仕事(タスク)を実行するために必要な能力定義(スキル領域として定義)
・個人が、それをどのくらい保持しているかを示す度合い
・ITSSでは共通部分を定義してあり、企業で活用するにはビジネスモデルに合った形で選択、追加することが必要
・ツールや試験などでの判定が可能

「達成度指標」
・ビジネス目標達成に、どのくらい貢献したかを評価する指標
・成果をビジネス貢献とプロフェッショナル貢献の2つの視点で評価
・ビジネス貢献は責任性、複雑性、サイズで構成され、責任性の下に複雑性とサイズが位置付き、責任分野と役割を明確にした上で、ビジネスへの直接成果を明確化
・プロフェッショナル貢献は、執筆や社会貢献などプロとしての公の活動を評価
・ツールや試験などでは評価困難で、上位者の面談などによるアセスメントを含めた評価プロセスのデザインが必要
コンピテンシーは?
 仕事をするためのスキルと、成果の評価指標がITSSとして定義されていることになりますが、仕事をするために必要なスキルを持っていても、貢献したりいい成果を出せるとは限りません。仕事を遂行する能力が必要です。一般的には、これがコンピテンシーやヒューマンスキルと呼ばれています。そのコンピテンシーは、共通化の困難さからV2の範囲から外すと明言されています。
 コンピテンシーの定義は難しいですが、ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキル、実行力などと捉え、個人が持つべき能力の全体をビジネス能力とすると、ITSSとコンピテンシーの関係は以下のようになります。

○ビジネス能力
  A. コンピテンシー
   A1. スキル
     A1.1. 問題解決能力
     A1.2. 意思決定能力
     A1.3. 対人影響能力
     A1.4. 対人関係能力
     A1.5. 業務管理能力
   A2. メンタル
     A2.1. 達成意欲(使命感、動機)
     A2.2. 自己変革力
     A2.3. 価値観

  B. ITSS(ITスキル)
   B1. 技術力
     B1.1. ツールの活用能力
     B1.2. 手法の活用能力
     B1.3. 標準の活用能力
     B1.4. アセスメント能力
   B2. 知識
     B2.1. 方法論に関する知識
     B2.2. ツールに関する知識
     B2.3. ビジネス基本知識
     B2.4. 経営管理知識
普及の条件
 初期バージョンがリリースされて以来、3年以上経ってITSS V2が発表されたわけですが、ついに画期的な改善が施され十分活用に耐えるものになりました。細かい部分は色々ありますが、ここまでのものが用意されているので、今後の改良も十分期待でき、普及に弾みがつくことが予想されます。いよいよUISS(ISスキル標準:ユーザ版)もパブリックコメントが始まり、姿を現します。UISSはかなりITSSを意識して作られていますが、JUASの会員企業が主体となり、活用する側の視点で作られたものなので、導入手順や活用方法が初めから議論されています。一気に普及していく可能性があります。またETSSも入れると3種類のスキル標準が出揃うことになり、ますますMETIやIPAの管理・改善手腕が問われることになりすが、我々活用する側も積極的に関与し、いいものにしていく姿勢で臨む必要があります。
▲▽ 関連サイト ▲▽
9月20日出版「ITSS V2の分かる本」
登録:2011-01-30 15:46:14
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