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コラム
第69話:UISS(情報システムユーザスキル標準)と、コンサルティングサービスの必要性〜その1
 68話でもUISSについての現状を説明しましたが、今回も引き続きUISS導入についての考え方をお話したいと思います。特にコンサルティングを受けることが、何故必要かにフォーカスします。
ユーザ企業とITサービス企業の違い
 ITサービス企業は、ITSS V2がリリースされたこともあり、導入に対して積極的ですが、大抵の企業がそのためにコストをかけることを良しとしません。これは筆者の実感ですが、コストといってもキャッシュアウトが対象で、社内の人員を割くのは構わないようです。分かりやすく言えば、ITSSを理解できていないのに、社内だけで導入しようとするということです。そうすることによって社内のビジネスに影響が出てきます。バリバリ現場で仕事をこなしたり、センスのある方、前向きな方に導入の一連に深く関与してしていただく必要があるからです。逆に影響が出てこない場合は、そのような方々が関わっていなかったということになるので、導入しても結果的にいいものにならない可能性が高いということになります。ただし、前向きで優秀な方々でもITSSについての知識を得、議論し考えていいものにしていくには時間がかかります。そうであるなら、外部のプロフェッショナルに指導を仰いだ方が効果的です。時間的にも短く、コストも人件費を考えたり機会損失などを考えると、決して高くつくものではありません。人材育成に関して、トレーニングなどの受講だけに投資するのではなく、自社にあった仕組みづくりを重要視していくべきです。考え方のベースを、「ビジネス目標達成に貢献する人材を育成するために、効率的な投資をする」、と置くと大変分かりやすくなります。
 一方、ユーザ企業の考え方は、ITサービス企業とは180度異なると言っても過言ではありません。自らが分からないものに時間をかけるのではなく、必要なら費用を計上して効率よく進めたいという考え方が根本にあります。

・成果を出すためにどのような手段を用いるか。
・成果を仕組みとして継続していくためにどうするか。

導入の進め方は以上の2点に絞られ、成果を出すための手段としてコンサルティングサービスを活用されるというのが一般的です。また、継続していくために優秀な方を専任でアサインされ、コンサルティングを受ける中で、様々な必要事項を吸収していくという流れが考えられ、現実的にもそれが一番多いパターンです。

UISSの活用視点
 企業によってあるべき姿は異なります。特にユーザ企業のIT部門の場合は、その企業のビジネス形態、業界、競合状態など様々な要因で、いかにあるべきかの姿が左右されます。その結果として、ITSSのような標準のキャリアフレームワークに当てはめることの必要性は、ITサービス企業に比べてさらに薄くなるわけです。
 それでは、どのようにあるべき姿を求めていけばいいのでしょうか。これは、評価することや人事制度化することが一番の目的ではないはずです。

・ビジネス部門の戦略的パートナーとしてIT部門がどうあるべきか。
・部門内にいるメンバが、部門のゴールを共有し、さらにそれぞれ目標を持ちモチベーションを上げて仕事をするにはどうするか。

ということが、進める上での考え方になります。

 そして重要な要素は、仕事をするためのスキル(ITスキルetc)+実行力(ヒューマンスキル、コンピテンシーetc)となり、そして成果の評価指標、及びPDCAプロセスのデザインとなります。
 仕事をするためのスキルを持っているだけでは成果を出すことはできません。そのスキルを生かすための実行力、つまりヒューマンスキルやコンピテンシーと呼ばれている能力が必要です。
 この仕事をするためのスキルがUISSで定義されることになります。さらにそのスキルはサブセットとなり、IT部門の標準機能に紐付きます。この機能(UISSではタスクと呼ばれている)階層と、それぞれにサブセットとして用意されるスキル群が、UISSの基本コンポーネントです。お気づきのように実行力であるヒューマンスキルやコンピテンシーは、UISSの対象外となっています。これらは、企業の特色をもったものになるので、あえて標準化しないということです。ただ、筆者の考えでは、実行力も企業の特色を出さなければならないものと、標準化できるものの2種類があり、今後標準化できる部分については、取り組んでいくことに意味はあると思っています。

 〜つづく

 次回、その2は、UISSによる目標人材モデル構築以降の考え方と手順の説明をします。
▲▽ 関連サイト ▲▽
9月20日出版「ITSS V2の分かる本」
登録:2011-01-30 15:47:02
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