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コラム
第78話:UISS/ITSS V2の導入手順〜その6 目標人材モデル策定
 UISS/ITSS導入手順の6回目、ファンクション/スキル変換の続編、及び目標人材モデル策定について話を進めます。
企業で必要なキャリアフレームワーク
クリックすると拡大  企業の目的はビジネスの成功です。そのためには、どのような人材が必要なのかを具体的に定義するのが「目標人材モデル」策定です。この「目標人材モデル」を作り上げるために、要求分析、機能分析と進めて、さらにスキルセットを構築するところまできました。ここまでは、企業としてのTo-Beファンクションモデル、及びスキルセットでしたが、次に要求分析での人材に関する要求を元に、人材像を作り上げます。
 その1つがこのキャリアフレームワークです。人材調達や企業間比較ではなく、ビジネス目標達成のための人材像を表現するものです。自社のビジネスモデルを反映していなくてはいけませんし、レベルの相場観も、自社にあったものにする必要があります。ITSSに合わせることはありません。また、役割や責任範囲も自社にあったものにすることが重要です。
(図はサイバード・キャリアフレームワーク)
人材像のスキルセットとレベル付け
クリックすると拡大  この図のように、プロジェクトマネージャがいたとすれば、その人材像は

専門スキル(ITスキル+α)+コンピテンシー(ヒューマンスキル、コンセプチュアルスキル)

で表現することができます。(スキル構造については77話を参照してください。)
一般的には、専門スキルといっても純粋なITスキルだけではなく、ITSSには定義されていない業界スキルや業務スキルなども必要です。
 さらに、その人材像を構成するスキルに段階をつけることによって、人材像にレベル付けをすることができます。たとえば、プロジェクトマネージャのレベル範囲を5〜10レベルだとすれば、スキルレベルが上がっていくように条件付けをするということになります。スキルに対するレベル付けは、以下の考えが一般的です。

0:知識なし
1:知識のみ
2:支援があれば実施できる
3:独力で実施できる
4:後進を指導できる

つまり、「データベースキャパシティプランニングができる」というスキルも0〜4までの5段階のスキルレベルを付けることができるということです。
この考えを人材像を構成するスキルセットに用いることで、その人材像にレベル付けができるということです。
「ITSSエンジニアリング」の奨め
 77話でも書きましたが、「目標人材モデル」は企業ごとに頭を使って考えた上で、策定する必要があります。企業間人材調達や比較などに使わない限り、参照モデルであるITSSをそのままの形で使っても効果が出ません。理由は何度も書いているように、ビジネスドメインが異なるのが普通だからです。UISSはこの辺りを明確に定義しています。企業ごとの人材像を策定するための材料と手順を提供しているのです。ですからUISSは、わざわざ参照モデルと呼ばなくても位置づけが明確なわけです。
 それに比べITサービス企業は、経営者からして「うちの会社はどのくらいの位置だ?」から始まって、エンジニアの現状を診断し、結果を見てあまりにもレベルが低いと嘆いている状態です。ITSSのレベル相場観もご存じなく、必要以上に悲観的になったりしています。もう一度原点に戻って、何の目的でITSSを導入するのかを、考えるべきではないでしょうか。比較するのはあくまで手段です。企業を将来どういう風に持って行きたいか、そのときの目標値は何か、その目標を達成するためには、どんなスキルを持った人材がどのくらい必要か、そのためにITSSを有効に使う、ということなのです。IT系ならば論理的に考えるのは得意なはずです。
 ITSSをよく理解しているサイドの方々からは、ITSSがどうのではなく、それに取組む企業のレベルが低すぎて手に負えないのだ、という声が聞こえてきます。これでは本当に情けないと思いませんか。これを読んでお気づきなら是非真剣に取組んでください。今からでも遅くありません。
 企業としては、ビジネス目標達成に貢献する人材を育成するために、ITSSやUISSをどのような手順で導入し、いかにうまく継続運用していくか。また、個人としては、自分の将来像を明確にして現在とのギャップを具体的に知り、スキルアップしていくためには今何をすればいいか、またゴールへの道筋をデザインし明確にする。このように、ITSSを中心とした「ITSSエンジニアリング」を、具体的に進めるタイミングがやってきたのです。
「ITSSエンジニアリング」の本、現在予約受付中
 9月21日出版、翔泳社刊「ITエンジニアのITSS V2が分かる本」の宣伝があちこちのサイトで始まりました。筆者のこれまでのITSS、UISS普及活動や公的委員会への参画、またITSS、UISS導入コンサルティングの実績を生かした具体的で分かりやすい内容になっています。現在予約受付中(以下のページ参照)ですが、是非ご一読下さい。
▲▽ 関連サイト ▲▽
9月20日出版「ITSS V2の分かる本」
登録:2011-01-30 15:48:37
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