ITサービス提供企業向けのITSS、組込み技術者向けのETSS、この2つの標準はIT業界としての位置づけになり、UISSはそのサービスを受けるユーザ企業のIT部門のための指標となります。現在この3つのスキル標準が存在し、活用する側が正しく理解して、目的を持って利用していく必要があります。
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3つのスキル標準 |
ITSSの初期バージョンのリリースが2002年12月、続いてETSSが2005年5月に登場し、バージョンアップされたITSS V2が2006年4月に、そしてユーザ企業IT部門向けのUISSが同年6月に新たに登場しました。 スキル標準としてITSS V2、UISS、ETSSが並列で存在しています。この状態は活用側にとって必ずしもいい状況ではないかもしれません。しかし、客観的に見てみると、それぞれの視点が異なることに気づきます。誤解を恐れずに書くと、実質的な目的は次のように考えられます。
・ITSS エンタープライズ系エンジニアの将来像をデザインできる仕組みを提供し、キャリアデザインを促進する目的。 ・ETSS 組込み系エンジニアの不足から、その育成、スキルアップを目指し、エンジニアを確保することが当面の目的。 ・UISS ユーザ企業の中でのIT部門のあるべき姿をモデル化し、ビジネス目標達成のためのIT戦略を実現することが目的。 |
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3つのスキル標準の今後の展開 |
今までの経緯を考えてみれば、ITSSが先行して発表され、まるでIT業界のルールのようなイメージで、活用への試行錯誤が続いたと言えます。エンジニアの育成だけでなく、人材調達の話も並行して話題に上り、的を絞りきれなかった感が強いと思われます。ユーザ企業を巻き込めていない限り、人材調達といってもITサービス企業間に限定されたものになってしまいます。 次に登場したETSSは、まさしくシステム開発手順そのものを主体とし、それを元に必要な職種・スキルを定義したものです。IT業界は、この理解しやすい自然な構造を、高い評価で受け入れました。しかし、分かりやすい代わりに、システム開発のみを対象としているために、将来像が描きにくく、キャリアパスがデザインしにくいものとなっています。一歩引いてそれぞれを見ると、双方の共通点は多く、組込みエンジニア向けと言っても、ITSSと別に持つことに大きなメリットは生まれないと考えられます。それよりも統合して活用方法を明確にする方が、エンジニアにとっては有効なものとなるに違いありません。 さらにUISSが発表されて、それぞれの目的や位置づけが明確になりました。ITSSやETSSはIT業界という単一の業界に属すITサービス企業が活用し、UISSはそれぞれ業界が異なるユーザ企業のIT部門が活用することになります。つまり、一つの業界内でのキャリアフレームワークの共通化は、価値基準や人材の流動性を考えても意味がありますが、別業界であるとビジネスモデルは異なり、同じ職種や専門分野で共通化する意味合いが薄まるのは当然だと言えます。 今までの経緯から3種類のスキル標準を統合するのは容易ではありませんが、この図のようにスキルディクショナリを本当の意味での「ディクショナリ」に持って行くことができれば、共通化や構造化、また今後のメンテナンスの効率化に大きな役目を果たすことは間違いないと信じています。 |
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・ 活用セミナーのお知らせ
・ 高橋秀典著「ITSSエンジニアリング」の本
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登録:2011-01-30 15:49:36
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