スキルスタンダード研究所は、各業界へのスキル標準の活用・推進、プロフェッショナル人材育成に向けたコンサルティングサービスを提供します。
ITスキルスタンダード研究所
スキルスタンダード研究所についてニュースサービスドキュメントコラムお問い合わせ
コラム
第84話:「ITSS V2」、「UISS」についての理解〜その2「ITSS V2 2006」とは?
 先の弊社主催セミナーでの筆者の講演で、60名の参加者の皆さんに向かって「ITSS V2 2006が、10月31日にリリースされたのをご存知ですか?」とお聞きしたところ、身近な方々2名だけしか手を上げられませんでした。ITSSに興味を持っておられる参加者の方々でさえ、実質的に知らないということが明らかなわけです。
ITSSのバージョンアップ計画
クリックすると拡大  ITSSは、国際的な観点からもビジネスや技術動向の変化に合わせた改善や補足が求められます。ただし、ITSSを活用する側にとって予見できない不定期な改訂では、利便性が損なわれるおそれがあるため、IPAは図に示すサイクルに従い毎年定期的な改訂を行うことを表明しています。
 今後の改訂の考え方は、キャリアフレームワークに影響するような大幅な定義の変更を行う場合には「バージョンアップ」とし、スキル項目や知識項目の追加等、キャリアフレームワークには影響のない小幅な変更の場合には、バージョンナンバに改訂年を付与することを基本としています。今回の10月31日の改訂はこれに当たり、「ITSS V2 2006」と名づけられています。
 また、改訂にあたっては、修正理由等を取りまとめた改訂履歴を補足することになっています。
「ITSS V2 2006」での変更のポイント
クリックすると拡大  IPAから改訂に当たって以下のニュースリリースが発行されています。

『IT技術の進化に伴い、ビジネスのシステムへの依存度が増加して来ており、システムの安定稼動の維持、システム運用の重要性が急速に高まっている。このような状況を背景にシステム運用に係わるメソドロジーや標準的なフレームワークが整備されてきている。
 一方、今日的、実務的なシステム運用を前提にすると、現在のITスキル標準の中には、運用局面の考慮が十分なされておらず、運用局面全般を司る適切な職種の規定が見当たらない。唯一、活動領域の中で「運用管理」と言う役割が明記されている職種「オペレーション」においても、主に運行監視を中心とする3専門分野(システムオペレーション、ネットワークオペレーション、サービスデスク)しか定義されておらず、今日的なシステム運用への要求を満たすものでは無い。
 そこで、システム運用局面を主な活動領域とする職種「オペレーション」の役割を今日的なシステム運用全般を担う職種として改めて定義し、それに伴い呼称をシステム運用のディファクトスタンダードになりつつあるITILを参考にして「ITサービスマネジメント」に改め、この職種の専門分野を、「運用管理」「システム管理」「オペレーション」「サービスデスク」として見直しを行った。』

 V2.0では「オペレーション」と言っていた職種を、ITILの考え方に沿って今回大幅に見直したということになります。もっと分かりやすく言うと、「オペレーション」ではマシンの操作などを連想してしまいますが、システムが本番を向かえ運用に入った以降の重要さにフォーカスし、実質的な内容にブラッシュアップされたということです。
具体的な変更箇所
クリックすると拡大  図のように職種名が「オペレーション」から、ITILで定義されている「ITサービスマネジメント」になりました。
 さらに専門分野も「システムオペレーション」、「ネットワークオペレーション」、「サービスデスク」の3種類から「運用管理」、「システム管理」、「オペレーション」、「サービスデスク」の4種類になっています。
やはり考えないといけない活用の「目的」
 V1では11職種38専門分野、V2では11職種35専門分野、そしてV2 2006では11職種36専門分野になったわけです。V2の概要から再度引用しますと、

「ビジネス戦略に乏しく、単に人事管理上の便宜性や処遇制度の見直しのために利用するだけでは、逆に個人のモチベーション低下につながる恐れもある。」

という一文がキーポイントです。どうあるべきかという会社戦略をもとに議論しないで、参照モデルであるITSSをそのまま活用することは、かなりのリスクが伴います。
 また、参照モデルをそのまま使用し、現状把握だけに留まっても効果が薄いことは言うまでもありません。頭を使って考えることが重要です。
▲▽ 関連サイト ▲▽
高橋秀典著「ITSSエンジニアリング」の本
登録:2011-01-30 15:50:27
 サイトの利用について | プライバシーポリシー | 情報資産管理方針 |
トップページへ戻る