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コラム
第86話:名古屋ソフトウェアセンター、愛知県情産協主催「ITSS実践研究会 報告会」
第80話で「名古屋でのITSS V2導入フェーズ1終了!本格地域展開の兆し」と題して本格的地域展開の取り組みについてお話しましたが、去る12月13日に名古屋商工会議所において、その発表会が実施されました。
「ITSS実践研究会2006成果発表会」
クリックすると拡大  あいにくの雨でしたが、12月13日名古屋商工会議所に集まられた方々の熱気が伝わってきた素晴しい集まりとなりました。
 「ITSS実践研究会2006成果発表会」は、愛知県情報サービス産業協会、および名古屋ソフトウェアセンター主催で実施されました。用意された100席は申し込み時で満席締め切りになっており、当日も雨模様にもかかわらず満員札止めの状態でした。最近見られないほどのこの盛り上がりは、ITSSに対するものと言うより、地場の企業が初めて本格的に取組んだ内容への期待に間違いありません。そんな中、発表会は以下のアジェンダで進められました。

14:00 〜 講演 『失敗しないITSS導入〜好事例・失敗事例から学ぶ〜』
         株式会社 スキルスタンダード研究所 代表取締役社長 高橋秀典
15:00 〜 研究会参加企業による成果発表
         「ITSS実践研究会2006」に参加された企業による発表
     キムラユニティー(株)
     「ITSS実践研究会で生まれ変わる自社スキル標準【ITES】」
     (株)サンテック
     「ITSSとETSSを自社に合わせて人材の適材適所活用」
     (株)CMC Solutions
     「経営者と社員のコミュニケーションツールITSS」
     (株)システムリサーチ
     「ITSSを活用してトップダウンでの人材育成」
16:30   閉会
『失敗しないITSS導入〜好事例・失敗事例から学ぶ〜』
クリックすると拡大  筆者による講演はタイトルのとおりで、講演の骨子はITSS V2 2006とUISSの有効活用で、流れは以下のとおりです。

・ITSS V2の捉え方 (参照モデル、共通指標、定義の追加の必要性など)
・ITSS V2 2006の変更点
・UISSの捉え方
・導入時の課題
・失敗事例/好事例
・導入アプローチ (トップダウン型アプローチ/問題解決型アプローチ)
・人材像の考え方とコンピテンシー
・今後の展開 (スキルディクショナリによるITSSとUISSの連携)

 12月5日のITSSユーザー協会主催「ITSSユーザーズカンファレンス2007」でも講演しましたが、具体的な内容でITSSに興味があるくらいでは、とても理解できないものです。しかしながら満員の300名の方々による講演に対する評価は、ダントツに高いものでした。この評価の高さで筆者が感じたのは、参加された方々の考え方がかなり前に進んでいるということです。今回の名古屋でも、説明資料の内容は4年前から言い続け実証し続けてきた導入に関わる具体的な内容が入っています。皆さん真剣なまなざしで聞いておられ、かなりの理解度を感じました。実際に後で参加された方の何名かと話しましたが、その感覚は正しかったことを実感しました。
 東京でのITSSUGカンファレンスでも、この名古屋での講演でも、はっきりと以前と異なる状況だと認識できました。以前は、人材育成を考えずITSSに合わせたり、そのために手っ取り早くスキル診断をしたりと、育成なのか調達なのか何をしたいのか、筆者からすると理解のできない状況でした。どうあるべきか、To-Beを考えていないから頓挫する、これは当然のことです。実際に多くの企業が、そのような状態に陥ってしまったのです。
 今年6月に発表されたUISSとその思想は、その呪縛を打ち破るのに十分な力を持っていました。UISSは、それぞれの企業が自社のビジネスモデルに合ったものを作れる「素材と手順」の提供に徹したのです。つまり、どのような成果物にするかは、活用側が頭を絞って考え、責任を持つことを義務付けたわけです。よく考えれば当たり前のことですが、それを見えるようにしたUISSが登場したおかげで、ITSSを再度見直す形になったのは確かです。
 ITSSはITサービス提供企業向け、UISSはユーザ企業向けという考えですが、うまく活用できるならITサービス企業であっても、ユーザ企業であっても両方を使えばいいのです。こう言うと、UISSはITサービス企業の情報システム部門が使うもの、なんていう短絡的な声が聞こえてきそうですが、そうではありません。UISSの機能役割定義は、企業ならどこでも使えるようになっていますし、ITSSのスキル定義もユーザ企業が使えるものが多く存在します。
キムラユニティの取り組み
クリックすると拡大  事例発表のメインを務められたキムラユニティの岡本課長は、ITSSUGカンファレンスでも事例セミナーをしていただき大好評でした。お話の中でも、実践研究会の終盤は厳しかったと言われていましたが、かなりハードな内容であったことは確かです。夏休みをつぶして尽力された岡本氏の根性と使命感は立派です。
 キムラユニティでは早くからITSSに取り組まれていましたが、素晴しいのは当初の誤解や進め方の不都合さを、しっかりと認められた上で、弊社の手法に合わせてやり直されたところです。推進される方の責任上、もっとも認めにくいことを明確にされたことは、筆者にとっても驚異的で大きな使命感と勇気、前向きなお気持ちには感動を憶えました。
発表された3社
クリックすると拡大  短めの時間でしたが、あと3社の皆様が概略を発表されました。
サンテック・長谷川氏は、ビジネス上ITSSだけではなくETSSにも積極的に取り組まれ、経営幹部からも高い評価をもらっていると話されました。
 CMC Solutions・岩本社長は、新会社の立ち上げと重なり、かなりの苦労をされましたが、トップダウン手法を完全に理解され、ご自身の経営される企業に新たに適用されることを宣言されました。
 システムリサーチ・太田マネージャは研究会のスケジュール上、成果物の作成は自身で実施せざるを得なかったが、現場を巻き込んで行くことが必要とのことで、今後の推進に期待できます。
人材育成を真剣に考える企業へ
 名古屋地区で始まった本格導入は、必ずや大きな渦になって行くと確信しています。地方や中小企業では無理だと言い放っていた方々に、本当の実力を見せつける時が来ました。To-Beを考え、そのために何をすればいいかを真剣に考えていく企業しか生き残れないのは当然のことです。それは東京地区でも同じことで、仕事があるからと言って誰も安穏とはしていられません。
 アンケート結果にもその大きな反響は現れており、それを受け名古屋では実践研究会を引き続き開催することを検討されています。さらにうねりは大きくなるでしょう。
興味を持っておられる皆さんも、勉強はもうこの辺にして今こそ一歩踏み出しましょう!
▲▽ 関連サイト ▲▽
第80話:名古屋での「ITSS V2」導入フェーズ1終了!本格地域展
高橋秀典著「ITSSエンジニアリング」の本
登録:2011-01-30 15:51:15
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