現在コンサルさせていただいているうちの2つのユーザー系企業で、真剣に考えられているのがデータマネージャの役割です。これは偶然の一致ではなく、クラウド・コンピューティングへの移行が加速し、また、セキュリティ強化が重要な中、どうしてもデータの最適化やセンタライズが必要になってきていると考えられます。必要なデータを収集し、戦略的に活用するのがICTの一番の目的なので、これは必然的な原点回帰かもしれません。少しなおざりにされた感があるコーポレート・データモデルの復活です。
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現場の状況 |
稼動中のシステムは質・量ともに増加し、ビジネス部門の要求は多岐にわたります。さらに、多くの新しい技術が提供される環境で、その中心に位置づく情報システム部門、および情報システム会社のメンバは、過去のような経験実績を積むことができない中で、ヘッドカウントを絞られつつも高い品質でのシステム運用を求められています。 このような中で、普通にできていて当たり前で、少しでも問題が発覚すれば、IT系は業務を分かっていないと、一刀両断にされます。
また、データ活用のポイントで、ビジネス部門や経営層から様々な要求が来ることもしばしばで、あちこちのファイルからデータを抜き出しては編集・加工する作業が発生します。いくらBI、ERPと言ってもいまだにExcelでゴリゴリ加工していることが多いのが現状です。ああでもないこうでもないというやり取りが増え、当然のことながら多くの工数を割かれることになります。
先ほども述べたように、要員のヘッドカウントはぎりぎりまで削減され、パートナーもコスト見合いで減らされる方向にあります。そうすると一人で受け持つシステムの数が増え、以外の作業も膨大になり、今やらなくてはいけない日常の作業に埋没してしまうことになります。 そうなれば、こうすればよくなるなど分かっていても改善に至らず、今後のことを考えて―、という思考が停止した状態になり、黙々と働くということだけが残ってしまうというのは、言い過ぎでしょうか。 |
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何が強みか |
それなりの位置にいる内外の方々から、情報システム部門/情報システム会社のメンバはもっと業務に強くなり、ビジネス視点で考えることが必要だという発言をよく耳にします。 確かにそうなればベストなのですが、理想と現実は異なります。ビジネス部門とのローテーションが頻繁にあるだとか、IT採用があるなどによって状況は変わりますが、ほとんどの企業ではビジネス部門の方より、業務に詳しくなることは通常ありえません。 では何が強みなのか。いつもビジネス部門の言いなりになっていなくてはならないのか。 筆者が考える情報システム部門/情報システム会社の人材の強みは、まさしくシステム化する能力を持っていることです。もう少しわかりやすく言えば、プロセスをファンクションとして捉え、全体を抽象化・論理化する能力、データをモデル化して一望することができる能力を持つことです。これらは、IT系の人材でしかなし得ないことだと言えます。 もちろん、ビジネス部門の方と業務について会話できる知識を持つことは最低限必要ですが、IT側でしかできないことを強みにしていくのは、ごく当たり前のことです。 |
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プロセスとファンクション |
通常、一連の業務の流れは、組織でぶつ切りになっています。組織の中にいるビジネス部門の方々は、自組織外のことより自組織内の業務に強いと言えます。さらに業務をプロセスとしてとらえていることが多く、そのままヒアリングすると、まずこうして次にこうしてという話になってしまいます。上流工程で、業務を明らかにする必要がある場合は、このインタビューの仕方は適していません。プロセスをファンクションとしてまとめ、組織の枠を外すという抽象化、論理化の手法が必要です。組織の枠を外せば、本当の業務のスタートとエンドが見えます。 また、プロセスは時間軸に沿って流れますが、時間軸の考えを取り去ることにより、ファンクションとしてまとめることができます。これが、プロセスとファンクションの違いです。
プロセスはプロセス・フローなど手順書で表現され、ファンクションはDFD(Data Flow Diagram)で表現することができます。また、通常前者は組織に閉じた記述をすることが多く、後者は組織の枠を外した書き方をします。
組織や時間軸の考えを外すことによって、ファンクションの構成による全体像を明らかにすることができる訳です。これはIT人材にしかできないことであり、ビジネス部門の方にはできません。
さらにファンクションを使ってDFDで表現すると、そのファンクション間でどんなデータが流れるかが明確になります。
〜その2につづく |
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登録:2022-03-11 21:25:40
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