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コラム
第251話:スキル標準の歴史とiCD & ITSS+ 〜その4
 最新のスキル標準であるiCDやITSS+は、「企業」での活用が基本です。これまでもITSS、UISS、ETSSなど旧スキル標準についても、多くの企業が活用してきました。これらスキル標準の策定経緯や活用について、振り返ってみたいと思います。また、DX推進を見据えたいiCD & ITSS+ の活用方法についても深堀していきます。
企業活用中心のスキル標準
 ITSS・UISS・ETSSなどの旧来のスキル標準は、明らかに企業活用を中心に考えられてきました。いままで発表されている事例を見ても企業での活用が中心です。

 企業においては、それぞれビジネスモデルがあって将来計画も異なり、ビジネス目標が違います。よって、1つの枠の中にはめるような提供の仕方をしても使えないというのが現実です。さらにここにきてビジネス環境も大きく変わり、固定化されたものは使えないという判断をしている企業が大半です。
 ITSS発表当初は、枠にはめることで簡単に人材育成や評価ができるという誤解があり、IT企業の人材育成担当者が積極的に取り上げましたが、頓挫してしまった企業が多いのが事実です。特に中小企業はその傾向が強く、一方、大手かどうかにかかわらず継続して活用できている企業は、自社に合った形に作り直して使っています。

 まさにこの点に応えたCCSFやiCDが、各方面から評価を得たのも当然だと言えます。

 一方で、個人視点を主体とした共通指標としての活用については、プロモーションも含めこの15年間でほとんど手つかずになっている状態だと言えます。

 ここでの個人視点の活用(共通指標として)というのは次の観点です。

・企業に属していてもいなくても、個人が(IT企業に属している人はその枠を超えて)IT業界の中で何を目指して行くかや、自身のスキルアップのために何をすればいいかを具体的に知るために、共通指標としてスキル標準を活用することと定義できる。学生がIT業界で仕事をすることを前提に、スキル標準を利用することも範囲内。(大学、専門学校、高校などのカリキュラムや講義内容を組み立てるのにスキル標準を利用することも含む)
・企業に属している個人が、用意されたものを使っているのは、企業活用と同じであり、ここでの個人視点には入らない。派遣業の企業で、与えられたものを個人が使っているのも同じこと
CCSFからiCDへ
 先に述べたように、CCSFは企業での活用が主体となっていました。
また、CCSFは旧3スキル標準を統合の上で編集されていますので、それぞれのスキル標準へリバースすることも可能です。したがって業界標準として活用することが可能です。

 しかしながら、そのような話は小難しく感じる方が多く、業界標準としてわかりやすく示してほしいという声も多く聞かれました。
 また、タスクと教育プログラムを結びつけることも、十分に理解が進まず浸透しづらいという状況でした。

 iCDはCCSFと考え方は同じなのですが、格段に品質が上がっています。タスクとスキルを独立して持たせ、ゆるやかな連係をとることで、教育プログラムや資格などとの結びつけを、さらに分かりやすくすることが実現できています。

 また、iCDをデータベースとして位置づけ、各種委員会での業界標準の策定や公表に威力を発揮することにもなります。
iCDの限界とITSS+
 DX推進の必要性が明確になりつつあります。過去の延長線上にはない世界が見えてきました。その現実に直面してから、さてどうしようかと考えるのでは遅すぎます。
 しかし、そうはいっても現状は問題なく守らなければいけない、ということも事実です。そのためには、単なる見える化だけではなく、戦略的にiCD、ITSS+を活用する必要があります。

 iCDは、タスクディクショナリの構成をみると、ウォーターフォールを基本としていることが一目で分かります。それだけで、DX技術に対応するのは難しいことをお分かりいただけると思います。

つまり、

   「iCDだけでは今後の人材戦略には使えない」

ということがはっきりしています。

 先で理由を解説しますが、AIやデータサイエンスなど今後の中心になっていく技術をタスクで表現するのは難しく、仮にできたとしてもミスリードする危険性が大きいと言えます。

 また、出来上がったコンテンツでタスク遂行力チェックやスキルチェックをして、ギャップから育成計画を作成していくような代物ではないということです。
 そういった従来のやり方にこだわっていてはだめだということです。

 そこで経済産業省、IPAは「ITSS+」に活路を見出しました。
ネーミングに関しては賛否が分かれますが、ITSSとはまったく異なる別物になっています。
 今までのITSSの職種の横に並べて・・ということではないことを理解する必要があります。

 〜その5につづく いよいよITSS+をどうとらえてiCDと共に活用するかに言及していきます。
登録:2022-03-11 21:17:35
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