本日2023年7月31日発行の日経新聞朝刊にデジタルスキル標準の記事が出ました。 表題を ”DXスキル、「可視化」進む ”として1面を割いて説明しています。 内容は当たり障りのないものになるのは紙面の制約上も仕方ないですが、「人材像の設定、キャリア形成などの仕組みも必要」としているのは真を突いています。
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デジタルスキル標準とは |
前回は客観的事実としていくつか提示しました。 今回はDSS-Pそのものについて説明します。先回の内容を頭におき、そのうえで構造を理解することから始めましょう。
デジタルスキル標準は次の2つで構成されています。
・DXリテラシー標準 全てのビジネスパーソンが身につけるべき能力・スキルを定義
・DX推進スキル標準(DSS-P) 実際にDXを推進していく人材を対象とし、DX人材を役割別に分類し、それぞれが習得すべきスキルを定義した指針
DXリテラシー標準について、ミドル・シニア層の人たちは既存のビジネスを支えてきた経験があり、そういった人たちがデジタルのリテラシーを身につけることで新しい可能性が広がることが考えられます。 多くの企業でコンピテンシー定義として活用されていますので、ここでは説明を省きます。
DSS-PはDX推進に極めて重要であると言えます。DSSP-Pは次の3つで成り立っています。
・人材類型 ・ロール ・共通スキルリスト |
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DSS-Pの要素 / 人材類型とロール |
人材類型とは、企業や組織のDXの推進において必要とされる人材を5つの類型に区分したものです。さらに、その下位のロールは人材類型を業務の違いによりさらに詳細に区分したものです。活躍する場面や役割の違いにより、2〜4つのロールが定義されています。また、「ITSS+レベル4相当」を想定しており、独力で業務が遂行でき、後進の育成も可能なレベルに対する定義となっています。(図参照) 同じく公表された説明文では、「1人で複数のロールを兼ねる/複数で1つのロールを担う事も想定」となっていますが、これは現実的ではなく大いに違和感があります。その内容については後述します。
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DSS-Pの要素 / 共通スキルリスト |
共通スキルリストは、DXを推進する人材に求められるスキルを5つのカテゴリー、12のサブカテゴリーで整理したものです。 各カテゴリーは2つ以上のサブカテゴリーに分け、1つ目では主要な活動を、2つ目以降ではそれを支える要素技術と手法が定義されています。 |
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DSS-Pの定義体から客観的事実を正確に把握 |
ITSSや他のスキル標準に比べて、かなり簡潔な定義体になっています。 しかし、逆に言うと整理され過ぎたものでは全体を表すのが難しいとも言えます。 その理由をこれから説明していきます。
以上、公表されている内容の概略を把握したうえで、次の先回のコラムをご覧いただきたいと思います。
---<先回の内容>--------------------------------------------
まず大事なのは定義されている内容を、客観的事実として正確に捉えることです。
何を意識するかというと 「企業ごとにビジネスモデルや目標が異なることをどう取り込むか」 「自社の目標達成に貢献する人材の育成、及び適正配置による組織力強化」 の2点です。公表された内容でスキル診断をしても、上記を意識したとは到底言えません。
DSS-Pの客観的事実を捉えると次の通りです。
1.具体的な活用方法については提示されていない
2.スキル定義の表現に抽象的なものが目立つ
3.現在の定義体は、ITSS+レベル4相当として策定されている → 他レベルに拡張されるか、このままかは未定。使い方に注意が必要
4.人材類型・ロールについての理解には注意が必要 ・人材類型・ロールの定義 「期待される役割、求められるアクション」 は、範囲が広い上に重複が 多く、概念的にも曖昧 → この範囲のスキルを持てたらこの職位とするというようなイメージ? ・ロールは一般的な役割とは異なる → 一人が一度に担う仕事の単位ではない ・ロールは育成する単位ではない (複合型)
5.現場での役割設定などに使うには、一人が一度に担う仕事の単位での定義が必要 → 実際に活用するには、iCDやスクラムガイド等を活用してロールの機能分解が必要
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ロールの範囲の広さは、図をご覧いただければ明らかです。 先ほどロールについて違和感があると言ったのは、このように現場の役割とはかなりかけ離れたものになっているからです。
では、DSS-Pをどう有効活用すればいいのか。 上記、5に記述してあるように、現場で一度に担う仕事の単位の「役割」に落としていく必要があるのです。そのためには、機能の詳細化が必須です。
〜その3に続く |
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登録:2023-08-03 12:04:23
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