弊社サイトへのアクセスが引き続き急激に伸びています。それだけITSSやUISSに関する情報が少ないということかもしれませんが、着実に取り入れたいという企業や興味をもたれた方々が増えてきたということだと思います。このタイミングで正しく理解することが重要です。先行して導入している企業のいいところ、そうでないところを客観的に判断する必要があります。
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ITSS V2導入しようと踏み出した時の障害とは? |
資料などを読んだり、セミナーの受講やインターネットから情報を取ったりして、ITSS V2を導入する価値は大いにありそうだと判断し、いざ具体的に取り組むとなると、すぐさま壁に当たることになることが多いというのが一般的です。その内容は以下の通りです。
@「標準」とついているのだからそのまま使わないといけない前提という理解になるが、定義されている職種/専門分野が、自社の仕事上の役割と合わない。 −役割範囲や持つべきスキルが異なる。 −職種名になじめない。 −11職種35専門分野が多すぎる。 −自社で必要な職種が存在しない。 A人事制度とどう関係付ければいいか解決策が見えない。 −初めから関係させないと言い切るのか。 −将来関係付けをすることを前提に当面運用して検証していくのか。 −一部適用するようにするのか。 −当初から入れ込むのか。 BITSS V2で定義されている内容では抽象的過ぎて、自社のビジネスに合いそうも無い。自社で必要なスキルを追加定義したいが、「標準」だからできないのでは? |
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ITSS V2の定義範囲の再確認 |
前述のそれぞれの課題に対しては、以下の「ITSS V2概要編」の抜粋からおおよその答えを得ることができます。またここに挙げている2つの図は説明内容を補足するものです。
「企業によってビジネス戦略が異なる以上、投資すべき対象職種も異なる。このため、ITスキル標準を企業へ適用する場合には、ITスキル標準の定義内容は共通指標として活用し、自社のビジネス戦略に合わせて企業固有の定義内容に置き換えた指標を設定することが求められる。」
「各企業は、ITスキル標準を共通指標として現場で特定できるレベルで解釈あるいは再定義し、企業固有の指標として適用する。これにより、企業間の解釈による差異を少なくすることができる。」
「ITスキル標準は、事業活動における個人の貢献を的確に評価しようとする観点から活用することが必要である。人材投資という経営判断やビジネス戦略が伴わないままITSSを導入することは、自社のビジネスや技術を担い、競争力を支えていくプロフェッショナルの重点育成策にはつながらない。ビジネス戦略に乏しく、単に人事管理上の便宜性や処遇制度の見直しのために利用するだけでは、逆に個人のモチベーション低下につながる恐れもある。」
「ITスキル標準の位置づけは、基準や仕様ではなく、参照モデルである。すなわち各社がビジネス戦略の実現を目的に、人材の育成に関わる様々な立場の人が人材育成について共通の認識を持つために参照する指標ということである。「標準」といっても、自社のビジネス戦略の実現に必要な部分だけを参照すればよい。すべてを必ず使う、そのまま使うという位置づけにはないという理解が必要である。」 |
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導入の目的は何か? |
目的がITSSを入れることや、現状把握する、もしくは他社と比較してどのくらいの位置にいるか知りたい、などになっていないでしょうか。 これらは
「手段であっても目的ではない」
ということです。また、よく見かけるのは「ビジネス貢献をする人材を育成する」ということと、「人材調達や企業間比較」の観点が明確になっていないケースです。この両方の観点では、ITSS活用の仕方が異なります。 以下のようにはっきりと区別して対応する必要があります。
・ビジネスに貢献する人材を育成したい。 →職種、および人材像を構成するスキルセットを、自社の観点で策定する必要がある。 これは、それぞれ各社ビジネスモデルが異なる限り、自社の観点での人材モデルが必要になるからです。キャリアフレームワーク(職種、スキルセット、レベル観)や評価プロセスは、自社の経営視点からITSSの考え方を参照して策定する必要があります。ITSSとして提供されている共通化されたスキル定義では、自社で必要なスキルが網羅されていない場合もあり、またコンピテンシーなども自社観点で追加していくことが必要です。ITSSで定義されている職種、たとえばITスペシャリスト・データベースのレベル2の人を3に上げて経営戦略のどこにどうヒットするかは、説明がつきません。自社のビジネスモデルや戦略に合った人材モデルを策定し、現状とのギャップから育成プランを立てることが重要です。 UISSの活用については、この一連の考え方で貫かれています。
・人材調達に活かしたい。 →ITSSから提供されているキャリアフレームワークや定義体をそのままの形で利用しなければなりません。共通のものを使わないと、各社のインターフェースとして成り立たないのは、言うまでもありません。企業間比較の場合もまったく同じです。人材調達や企業間比較の場合は、流通しているスキル診断の仕組みなどをうまく活用するのも一手です。 |
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人事制度との関係について |
先のITSS V2概要編にも明記されているように、一般的にはいきなり人事制度に適用するのはリスクが高すぎると言えます。しかし、人事とまったく関係させないと断言してしまうのも、違和感を持ってしまう社員の方がいるかもしれません。人事制度の中で、コンピテンシー定義をされている企業も多く、よく似たことを並列でやっているように感じることも確かです。また、育成プランがあってスキルを身につけ、成果を出していく理想のサイクルを考えると、評価やそのプロセスは切っても切り離せないからです。人事制度=評価制度ととってしまう方々が多いのも実情でしょう。 では、どうすればいいのかということですが、筆者の経験上すぐに関係させないとしても、リンクさせる前提で段階を設けて中身を実証しながら進めるというのが、解決策として分かりやすいと思います。時間をかけて策定したものであっても、自社に100%適合しているものを生み出すのは不可能です。人材育成や評価の仕組みは、運用・改善を継続して完成度を上げていく類のものだからです。 当初はMBOの評価項目の一つに、ITSSでの可視化から得た具体的スキルアップ項目を掲げていくのもいいかもしれません。また、自社職種ごとに社員で構成されるコミュニティを作って運用しながら自主改善する体制も意識を高める上でも効果的です。 |
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▲▽ 関連サイト ▲▽
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・ 高橋秀典著「ITSSエンジニアリング」の本
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登録:2011-01-30 15:50:17
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