スキルスタンダード研究所は、各業界へのスキル標準の活用・推進、プロフェッショナル人材育成に向けたコンサルティングサービスを提供します。
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コラム
第175話:ITSS・UISS導入後の運用における課題は? 〜その2 社内展開からのスタート
 ITSSやUISSなどスキル標準を、企業において有効に活用するには、経営戦略やビジネス目標に合わせてカスタマイズする必要があることを述べてきました。また、環境変化に伴う見直しが前提であり、柔軟に対応できるスキル管理ツールの有用性をお話ししました。
 運用する仕組みの準備が整った後、本番に向けて何をしなければならないか。そのあたりに焦点を当ててみます。
人材マネジメントの考え
クリックすると拡大  運用を開始するお話の前に、前置きとして「人材マネジメント」について簡単に触れておきます。

 人材マネジメントが何故重要かというと、「ビジネス目標を達成するために組織力を強化する、目標達成に貢献する人材を育成する」必要があるからです。個人のスキルアップが目的ではありません。もちろん、MBOに連動させることなどで、個人と組織の目標の共有化は可能ですが、どちらも1年で終わりではなくて将来を見据えた継続が必要になってきます。

 また、To Beを定義するから、そこに到達するまでの現在からの道のりや手段が見えてくるのであって、そのTo Beは各企業共通なわけがありません。ビジネスモデルや経営戦略、事業計画が各々異なるように、企業の目指す姿は当然各々別のものであるはずです。
 
 では、人材育成を進める上で、どのように企業色を出していけばいいのか。それは、スキル標準の導入・活用の導入部分の手順で示されています。(図参照)

 また、経営戦略や事業計画は毎年変化するものですから、それに合わせて見直していく必要があります。つまり、提供されたものを当て込んだり、作りこんで固定化してしまうのではなくて、そういう事象に柔軟に対応できる機能を持つスキル管理システムを活用しないと、人材マネジメントをうまく回すのは難しいと言えます。
仕組みの構築後、本番運用までに何をしなければならないか
 スキル標準のコンテンツを有効利用して自社版の組織機能や人材像、スキル定義などを策定してスキル管理システムに搭載すると、仕組みとして準備が整ったことになります。

 本番運用するまでに必要なものは次の通りです。

@運用プロセスの策定
A運用体制の確立
B運用ガイドの作成
C組織管理者向けガイドラインの作成
D社員向けガイドラインの作成
E社内説明会の実施

 次につながる作業しやすい順に記述しましたが、必ずしもこの順序で進める必要はありません。
@運用プロセスの策定とA運用体制の確立
 これは読んで字のごとしで、運用についての計画を立てるステップになります。

 人数が少ないので明確に定義するような大上段の考えができない、という声もよく聞きますが、必ずしも専任体制を求めているわけではありません。少なくとも責任を持ち窓口となるような体制は必要ですが、運用側の負担を少なくするために、スキル管理システムの活用をお奨めしているのです。

 もし、運用計画や体制など何もいらないということだと、そもそも人材育成をしなくとも成り立っていると判断しているか、個人の責任でうまく回っているという考えになります。

 そうでなければ、運用計画や体制を事前に検討するのが通常です。
どの企業でも、半期に一度程度の目標設定や評価のための上司・部下の面談を設定しています。スキルチェックやそれをもとにした組織計画立案、スキル向上や目標達成の評価なども、そのプロセスに乗せて運用する考えに落ち着くのも自然な流れです。

 しかしながら、その場合に問題となるのが、「スキル標準を基にした仕組み上の結果が、人事評価とどう関係するか」ということです。口に出さずとも、気になるのが当然と言えるでしょう。

 関係ないと言ったとたんに、いい加減な対応になることや、仕事と切り離した別物という位置づけになってしまう危険があります。どのようなメッセージを伝えるかによってもかなり異なった結果になりますが、評価ではなく人材育成のためのものだと言えば言うほど、社員が急速に興味を失うことも事実です。

 また、組織管理者からしても、事業企画と育成計画が連動いていなければ、自身の今後のミッションと部下の育成計画が別物だということになり、身が入らないことも考えられます。

 ここで、社員に対して次の内容を理解させるメッセージが必要になります。

<評価プロセスの中に人材育成の仕組みを入れ込む場合>
・人事評価との関係
 よく採用されるのは、目標管理の一項目として数キル管理を使ってスキルアップ項目を取り上げるというゆるい連携を持つという考えです。
・コンピテンシーの扱い
 人事評価でコンピテンシーを採用されている企業も多く、スキル管理の中での人材像定義にコンピテンシーを入れるか入れないか、入れるとすれば人事のものを採用するか、新たに定義するかなど。

<組織管理者への対応>
・リソース計画立案時に、スキル管理の情報を活用するプロセスとする

 〜その3につづく
登録:2011-02-27 09:39:22
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