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コラム
第177話:人材育成におけるスキル標準の活用実態 〜企業活用の現実と思い込み
 スキル標準導入後の運用における課題についての続編は次回にさせていただき、今回は活用現場の実態と、提供側への提言をまとめました。
活用企業の実態と問題点
 IPA発行の人材白書2010では、20009年度のITSSの活用率は、従業員1001名以上の大手が82.4%、300名以下の中小では28.6%となっています。UISSに関しては、1001名以上の大手が9.5%、300名以下では3.8%となっています。

 UISSに関しては、提供されているコンテンツを自社用に組み立てて活用することを前提としているので、UISSを活用しているという認識は低くなってしまいますが、大手でも10%に満たないというのは、明らかに浸透策が不足、または功を奏していないということが言えるでしょう。

 ITSSは、大手についてはかなり活用されていて、中小ではまだまだという結果ですが、もう少し突き詰めると次のように言えます。

・大手ITベンダ
 SIモデルの考え方がフィットするが、経営戦略・事業戦略に合わせてカスタマイズ。
 専任体制があり、カスタマイズも運用も可能。

・中小IT企業
 全く合わずうまく活用されていない。
 一度活用し出した企業も見直しを余儀なくされて、手つかずのまま年1回のスキルチェック程度かフェードアウトに近い状態。
 人材育成にうまく継続活用できている企業はごくわずか。
 一方で、理解不足、検討不足でビジネスモデルに合っていないものを、無理やり運用していて効果が薄い状態でも、うまくいっていると思い込んでいる企業が意外と多いのも特徴。

・全体
 複数のスキル標準(UISS+ITSS、ITSS+ETSSなど)を組み合わせての活用に対応できておらず、各企業が導入、活用の両方で苦労している。
 また、時間経過による変化に対応しきれず、内容に満足できないまま運用しているケースも多い。
今後の環境変化
 大手ベンダも中小も、顧客のニーズや環境、技術的な変化により、自社のビジネスモデル、人材戦略を見直す必要があると考えられます。

 また、ユーザー系企業も同様の環境変化で、自部門のあり方などが変化していくことになるでしょう。

 そう考えると、スキル標準は以下を満足するものとすべきと言えます。

「固定的なものの提供では、ますます活用できなくなる。変化や先読みに柔軟に対応できる仕組みを構築し、提供するべき。」
スキル標準のあるべき姿
 今後検討すべきスキル標準のあるべき姿を描く場合は、ITSS、UISSなどという枠を外し、スキル標準として固定的なものでなく柔軟に組み立てることができるように整理・構造化することが重要です。

 第1ステップとして「将来の基盤になる骨格を構築する」ことに早急に着手し、第2ステップ以降でそれを基にしてTo Beの肉付けをしていく流れとなるでしょう。
まず、基本形の整理から進めるべきだと考えます。

 以上の点を踏まえて、今後スキル標準に求められるのは、次の点です。

<活用企業に対して>
 ・企業導入なので、組織機能、タスクを中心とした考えでないと成り立たない。
  企業戦略や事業計画をどう織り込むかが重要。

 ・企業により、経営戦略も事業計画も異なるので、それらに合わせて組み立てられるコンテンツと手順を提供
  人や時間をかけられない企業のために、実証実験結果をテンプレートとして提供。

 ・企業力、組織力を考える上でのスキルマップは、タスク上のスキルマップ
  人材像を使ったスキルマップでは、経営戦略や事業計画実現のために、どう使うかが説明しづらい。
 (ITSのレベル4が10名必要? 「なぜ」、に答えられない)

 ・提供コンテンツは、適宜改善
  実証実験結果や要望などを反映。
  基本的に改善内容が全体に影響を及ぼさない構造。

<提供側内部に対して>
 ・コンテンツのメンテナンスがしやすい構造。
  世の中の変化に合わせて固定的に改変するのではない考え方。
  アーキテクチャはそのままで、コンテンツの変更で耐えうる構造。

 ・プロコミの横串を通し、作業を効率化
  タスクを基にした考え方と、DB化による基本ルールの設定。

 ・テンプレート追加のための実証実験の推進
登録:2011-04-25 12:16:07
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