スキルスタンダード研究所は、各業界へのスキル標準の活用・推進、プロフェッショナル人材育成に向けたコンサルティングサービスを提供します。
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コラム
第181話:「スキル標準最大有効活用セミナー」地方展開から
 以前からお伝えしているようにIPAとの共催で、地方講演を続けています。
名古屋に始まり、沖縄、大阪、そして広島での講演を終え、聴きに来られた方々の姿勢や質問、アンケート内容から見えてきたこともあります。
少し前の人材育成・人材開発担当者の感覚
 筆者がスキル標準に関わり始めた2002年頃は、人材育成担当者の方には何かパターンがあるように思えました。誤解を恐れずに言うと、年配の方が多く自分のやり方を持っていて、あまり変えようとしない、という印象です。

 2003年に経済産業省の情報処理月間で、パネラーで登壇したことがあります。ほかのパネラーは、主として各プロフェッショナルコミュニティの代表の方々でした。

 聴衆を見渡すと、40代後半から定年間近に見える方々がほとんどで、ディスカッションが進んでも、あまり目を輝かせたり反応することはなく、ただ座っているだけという感じでした。終わっても無言で席を立ち、そそくさと会場を後にする、という有様でした。あとで親しい関係者の方と話すと、あれだからIT系の人材育成がうまくいかないんだよな、と話していました。スキル標準に踏み込んで前しか見ていなかった頃でしたが、妙に納得したのをよく覚えています。

 筆者が幸運だったのは、今までコンサルテーションを手掛けた多くの企業の担当や責任者の方は、使命感や熱い情熱を持っていました。逆に学ぶことも多く、何とか役に立ちたいと踏ん張れたという状況でした。だから成功してきたと思っています。先に書いたような方々は自分の考えを持っているので、決して新たなコンサルと付き合わないし、声もかからないということだと思います。

 ここ2、3年は、スキル標準普及のため、また自身のビジネスを進めるためにも、できるだけ活用現場に居ることを心がけてきました。最低限の委員会やトレーニングの実施だけにし、セミナー類はほかの方々に任せるようにしてきました。年末のカンファレンスでも、3年続けて表舞台には出ていません。

 しかし、昨年後半からスキル標準の新モデル策定も始まったこともあり、今年からできるだけ前に出て広めることに尽力しようと考え、実践しています。ちょうどITSS V2が出たときの状況によく似ています。
人材育成担当者の世代交代と切り替わった感覚
 今回実施してきたセミナーでは、個別相談を受けるという試みを始めました。東京では10社くらいが申し込んでこられましたが、地方ではそれぞれ2、3社程度です。

 この差は今までの普及活動では不足だったという表れだと考えています。IPAでは地方でそれぞれ年数回はセミナーを開いていますが、活用サイドであるスキル標準ユーザー協会では、どうしても東京集中になりがちでした。活用の仕方や実績を中心にしたセミナーでないと、なかなか考え方や良さが伝わりにくいのも事実です。

 名古屋、沖縄、大阪、広島と続けてきて、強く感じるのは、人材育成担当の方々が世代交代していることです。若返っているのはもちろんですが、140分ある私の話を真剣に聞き、そしてメモを取っています。終わってからの質問も的を得ています。

 スキル標準のことをよく理解しているのが分かります。すくなくとも情報を取ることや、ドキュメントを深く読み込んでいることが話していると分かるのです。

 前任者から引き継いでいるか、自分で勉強するかしかないですが、多くは後者であることが想像できます。今までの古い考えを持った担当者は、スキル標準を理解できているわけではなく、単にスキル診断を続けて活用できていると思っている場合が多いからです。理解できていないから引き継げるわけもありません。

 よく勉強してきた方々は、筆者の話す内容を先入観なしに聞き、見事に理解します。

 人材像やスキルから考えをスタートしてはいけない、なぜなら企業導入だから。企業力や組織力を上げ、ビジネス目標の達成に貢献する人材を育成する。そのためには経営方針や事業計画を共通認識し、あるべき組織機能やその遂行のためのスキルを明らかにする必要がある。よく頭を使って進めるべき内容で、とりあえずやってみるなどというのはとんでもない。現場の管理者には、ミッション、責任範囲の事業計画と、人材育成プランをリンクさせる方法を提供する。

 以上のことを、新しい世代の方は、過去の呪縛にとらわれず素直に理解できることを知りました。引き継いでうまくいっていない実態があり、その原因を筆者の話から明確にできたとうれしそうに話すのです。また、先にあった個別相談でも、突っ込んだ内容になり理解していることがよく分かります。
 今まで何度話しても理解することができなかった担当者が多いという現実からは、想像しづらかったことです。

 期待が持てます。新モデルを武器に効率的に利活用できる方々が増えてきたのです。
自分自身の考えを基に、古い考えや意見に振り回されず、自信を持って進めましょう。
登録:2011-07-17 22:28:39
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