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コラム
第194話:CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)の活用方法 〜番外編
 今回は、CCSFに絡んでスキル標準の基本的なお話をします。すべてがスタートしたITSS V1、混乱したときはそこに戻るのが得策です。
ITSS検討の基本的な考え方 〜ITスキルスタンダード研究会検討資料より
 以下は、公表された検討資料からの抜粋です。

・当初はソフトウェア製品など個別要素技術スキルや業種別知識の取り込みを考えていた。また、ヒューマンスキルやコンセプチュアルスキルなどのコンピテンシー系スキルは基本的に範囲外とし、技術的に専門性の高いスキルの習得を目指す内容を考えている。
 →リーダーシップ、コミュニケーション、ネゴシエーションについてのスキル定義がされていますが、これは参考程度と受け取った方がいいでしょう。内容としても深くなく、現場で使うには質・量ともに不足しています。

・「職種・専門分野はITエンジニアの活動領域を分類したもの」であり、「職種としてのプロ」、つまりプロフェッショナルとしての特定活動領域ごとの能力を指す。また、ラインマネジメントなど組織管理能力は範囲外としている。
 → キャリア、及びキャリアパスの表現は、分類した職種を人材像と考えないと矛盾を起こすため、職種を人材像と仮置きしたか、もしくは初期のため定義しきれていないと思われます。これは、企業での活用方法に言及していないために、使われるイメージがないまま議論したことが原因と思われ、その結果これら表現に行き着いたと想像できます。

・各Frameworkで概括された業務(Job)とスキルを更に細分化し、具体的に行われる作業(Task)と、これに対応するAbility, Knowledge及び達成度を評価するためのKey Performance Indicatorに分解したものを作成する。つまり定義体は、活動領域(ジョブ)をさらに具体化したタスク単位のAbility, Knowledge(スキル、知識定義)、及びKPI(達成度指標)の構成。
 → スキルフレームワークは、V2よりキャリアフレームワークに名称変更されていますが、ITエンジニアの活動領域を 職種・専門分野で分類したものという考えは現在も変わっていません。名称が示す通り、必要スキルが主体となった考えからスタートしています。達成度指標が、KPIから考えをスタートしていることも注目すべき点です。
ITSS V1の基本的な考え方
 以下は公表されたITSS V1からの抜粋です。

・職種/専門分野は、実際のITサービスの種別を反映する形で区分している。

・「辞書」として機能しやすくするために、それぞれの区分において必要なスキルを独立して参照可能なように規定している。

・職種/専門分野はいわゆる人材像ではない。このようなスキル標準を作成する際の考え方としては、人材像として一定の役割や職務をモデル化し、それぞれのモデルに求められるスキルを導き出すアプローチもあり得る。しかしながら、本スキル標準は、辞書としての活用性を高める観点から、固定的な役割や職務のモデル化をまず行うのではなく、市場において顧客が必要とするスキルをまず浮き彫りにしてそのスキルの標準化を行い、市場のめまぐるしい変化に応じて企業や関係者の対応が柔軟かつ大胆に行われることを確保しようとしたものである。

・本スキル標準では、人材像として複数の職種/専門分野をまたがる役割を持つモデルを否定するものではない。また、人材像については、企業の事業戦略や教育機関の教育方針に従って、柔軟に形作られるべきものと整理したものである。

 「参照モデル」という表現を使っているのはV2からですが、V1からしっかりと考え方が記述されています。つまり、提供されているものは人材像ではなく、専門領域の分類とその定義体であり、企業が必要な「人材像」はそれらを有効活用して独自に作り上げるもの、ということです。
ITSS V3_2011での記述
 最新版の概要編では、以下のように記述されています。

「企業によってビジネス戦略が異なる以上、投資すべき対象職種も異なる。
このため、ITスキル標準を企業へ適用する場合には、ITスキル標準の定義内容は
共通指標として活用し、自社のビジネス戦略に合わせて企業固有の定義内容に
置き換えた指標を設定することが求められる。」

「ITスキル標準は、基準や仕様ではなく、参照モデルである。
言い換えると、ITスキル標準は、人材の育成に関わる様々な立場の人が、共通の
認識を持つために参照する指標である。「標準」といっても、自社のビジネス戦略の
実現に必要な部分だけを参照すればよい。“全部を必ず使う”、“そのまま使う”という必要はない。」

 誤解や理解不足でスキル標準をうまく使えていない企業が多いという実態に対し、当初よりはるかに具体的に何たるかを定義しています。

 しかし、このような現実感のあるものを読んでいない、勉強していない方々が、いかに多いことか、情けなく思います。

 何のためにスキル標準を企業導入するのか、目的は何か?経営者、管理層の方々が明確に社員に説明する必要があります。経営戦略や事業計画とつながっている必要があります。それができていないなら、早急にあり方を見直す必要があるということです。
登録:2012-05-08 10:59:42
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