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コラム
第199話:CCSF(共通キャリア・スキルフレームワーク)の活用方法 〜その6 企業導入における機能分析
 CCSFを活用したスキル標準の企業導入法を解説していきます。6回目の今回は、CCSF/タスクモデルを使った機能分析に入っていきます。
経営戦略、事業計画から入る、とは?
クリックすると拡大  機能分析の説明に入る前に、企業導入の基本について話しておきます。

 ITSSが公表されたのは2002年12月ですが、人によって解釈や使い方の理解が異なったのは周知の事実です。同じ人でさえ、時間が経つにつれてメッセージも変化してきました。その代表例は「変えてはいけない」や「変えてもいい」、また「企業にあわせて変えるべきだ」というような内容です。提供側でさえ、人によって異なったメッセージアウトになっている時期もあり、使う側としては、どう受け取っていいかわからず混乱した時期も長かったと記憶しています。

 事実として、変えないで使うということは、IT業界の客観指標であり、企業間比較や調達が目的とした活用方法です。もう一方の使い方は、考え方やビジネスモデルにあわせて、企業ごとに組み立てるというものです。この2通りの使い方があるというのは、今まで説明してきたとおりですが、それをごっちゃにして語っていたということで、当初の異なるメッセージについては、原因がはっきりしています。

 しかしながら、人が変わっても同じメッセージだったことがひとつだけあります。それは「スキル標準の企業導入は、経営戦略を基にしなければならない」ということです。これは企業ごとに組み立てることを抽象的に言っているに過ぎず、人によっては話の内容が前後で矛盾していたことは別にして、誰でも異口同音に語っていたことです。

 問題は、どうやってそれを実現するかのHowを提示できていなかったことです。したがって方法が分からないので、言っているだけということになってしまっていました。

 基本的な考えは、図のようなトップダウン的企業思考です。

 企業としての事業目標は何か、また目標を達成するためには何をすればいいか。IT人材を擁する企業や部門であれば、その人材のパフォーマンスを上げることであり、そのためには能力を引き上げる、またモチベーションを上げるために環境や条件を良好なものとする、ということです。

 よく見かけるのは、人材育成や人材開発担当が、年間の教育スケジュールを作ることを目的としていて、それで満足しているというケースです。これは、人材の能力を上げるということが目的であり、企業自体の目標と密接に関係できているとは言えません。したがって、その必要性を経営層に説明するのが難しく、厳しくなると真っ先に予算カットになるケースも多々あるという状況になってしまいます。
機能分析の考え方
 では、経営戦略や事業計画をどのように反映するのかということですが、まず最初のステップである要求分析で、企業や組織としてどうありたいかを明らかにしました。

 それを反映できるのが、唯一「タスク」、言い換えれば将来を見据えた「To Beタスク」だと言えます。どの人材像のレベルに何人必要かというのは、まだ先の話です。いきなりITSSをそのまま使って、どの職種のどのレベルに何人必要かなどと出そうとするのは、殆ど意味を成しません。根拠が全くと言っていい程ないということです。説明できないものは継続できないと、何度も言ってきました。まさにその見本だと言えます。

 実際にそうやっている企業にヒアリングすると、人数の出し方も「えいや」で、出したものも何かにつながっているわけではない、ということが殆どです。これでは、やらないほうがましです。

 〜その7につづく
  次回はTo Beタスクの意味とどのように形作っていくかを説明していきます。
登録:2012-08-13 13:01:09
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