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コラム
第206話:CCSF活用方法 〜その7 中間まとめ1から6 まで
 CCSFの活用方法がその6で中断していました。今回は1から6までをまとめ、次回から続きを書きたいと考えています。
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クリックすると拡大  その1では、もっとも普及し知名度もあるITSSの公開から現在までの道のりと企業の受け止め方を書きました。
 その中ではITSS職種専門分野は単なるカテゴリであったのに、企業の経営層や人材育成推進者には人材像や役割として受け取られてしまったということ。またそのために社員がキャリアフレームワークのどこに位置づくかの見える化を目的としてしまったことなど、大変な回り道をしてしまった企業が続出してしまいました。
 企業自体の考え方が入っていない、お仕着せの枠を使っているわけですから、継続した運用ができるわけもありません。多くの企業が、理解していないまま使い物にならないと途中であきらめてしまいました。
 そんな中でも数は少ないですが、正しく使うにはどうするかを追求しITSS活用プロセスを勉強してやり直した企業もあります。多くの企業から相談を受けました。

 また、ITSS、UISS、ETSSと共通点が多いはずなのに、構造も考え方も異なるスキル標準が個別に提供されてきました。例えばITSSとETSSを人材育成という範囲として使いたいのに、難しいという状況です。ITSSとUISSもしかりです。しかも、それぞれが委員会を立てて別途改訂を繰り返してきました。コストもかかる上に、ますますそれぞれの距離ができるだけです。

 そんな中、1年半の検討期間を経てCCSFとして全てにおける解決策が結実しました。
何度か説明しているタスクを中心としたスキル標準の統合施策です。

CCSFの特徴は次の通りです。

・今まで個別にスキル標準を活用されている企業には、直接の影響を与えない
 3つのスキル標準は新モデルが出ても併存する形となります。

・これから導入活用する企業は、この新モデルだけを対象にすればよい
 3つの考えの異なるスキル標準を個別に理解する必要はなく、この新モデルのみの理解で、3つのスキル標準の必要な部分を、自由に使いこなせることになります。

・今まで個別のスキル標準を使っていた企業は、新モデルで現状の検証、改善ができる
 たとえば、ITSSを活用していた企業も、この新モデルで現状の有効性の検証や、さらに合ったものにするための改善活動が容易になります。

 また、3つのモデルの考え方は次のようになっています。

・タスクモデル
 求められる機能や役割(課される仕事)を定義したもの。
 タスクというのは、理解が異なる可能性もありますので、ファンクションと捉えた方が分かりやすいと思います。企業目標を達成するために必要なファンクションということです。


・人材モデル
 求められるタスクを使って役割範囲を例示したもの。
 ITSSの職種専門分野は人材像でも役割でもなく、プロフェッションの分類ですが、導入しようとした企業は理解不能に陥り、結局職種専門分野=人材像と位置づけてしまいました。使い方と定義内容が異なるために、いろいろな矛盾を引き起こし、利活用をさらに難しくしてしまったのです。
 ここでは明確に役割のモデルであると定義しています。

・スキルモデル
 タスクを支えるスキル/知識を整理し、3つのスキル標準のスキル定義を一元化したもの。
 先ほどのファンクションを遂行するために必要なスキルです。

3から6
クリックすると拡大  提供されているCCSF活用プロセス(図)は、必要最低限の考え方を示していますが、企業の考え方にあった仕組みを構築するには最適なものです。

要求分析
 ・経営戦略、事業計画などに基づき、ビジネス目標の達成に必要な要件をまとめる
 ・組織のあるべき姿、組織構成や人材に求められる要件を明確化

機能分析
 ・現状(As Is)だけではなく、将来像(To Be)を見据えたタスクを網羅的、体系的に洗い出す
  →企業全体で最適化された効率的なビジネス推進体制の実現
 ・環境や企業戦略の変化に伴う組織改正やミッションの変更に対応
  →アウトソースする(される)際の役割分担を明確にし、整合性確保
    と効率化

人材像策定
 ・人材の役割・キャリアパスを明確にし、組織の生産性向上と個人のモチベーション向上  
  → 組織力向上に向けた、人材の重要性の確認と役割分担の明確化

 企業としてのビジネス目標があり、その目標達成に貢献できる人材を明らかにし、現状との差から育成計画や採用計画を立てていくということに対して異を唱える人はいないと思います。
 ビジネス目標は企業ごとに異なり、当然達成方法も異なる、必要な人材も異なることになります。要求分析は、それらを明らかにし、人材戦略立案につなげていくための大事なステップです。

 要求分析では経営戦略や事業計画を人や組織の視点で捉えるとどうなのか、企業や組織としてどうありたいかを明らかにします。

 それを反映できるのが、唯一「タスク」、言い換えれば将来を見据えた「To Beタスク」だと言えます。どの人材像のレベルに何人必要かというのは、まだ先の話です。いきなりITSSをそのまま使って、どの職種のどのレベルに何人必要かなどと出そうとするのは、殆ど意味を成しません。根拠が全くと言っていい程ないということです。説明できないものは継続できないと、何度も言ってきました。まさにその見本だと言えます。

 次回からは、企業のあるべきタスクを明らかにし、それを人材としてどう表現するか、持つべきスキルは...? その策定方法に入っていきます。
登録:2013-01-21 14:22:13
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