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コラム
第219話:2014年はCCSF全国展開の本格的スタートの年!
 今年初めてのコラムです。先回年末カンファレンスの報告をしましが、いよいよ2014年はCCSF本格展開の年になりそうです。そのスタートに当たり、スキル標準について今まで委員会など色々なところで議論されてきた内容を総括してみたいと思います。
CCSFを中心に置く
 CCSFは、ITSS、UISS、ETSSをを分解して再編集されたものであり、今後のスキル標準のData Baseとして位置づけることができます。
これによって、次のことが可能になります。

・ITSSとUISS、またはITSSとETSSなど複数のスキル標準を使いたくとも構造や考え方が異なるため、うまく利活用できなかった。CCSFで統一することにより全体をカバーした利活用が可能になる

・3スキル標準それぞれに委員会などを立てて改訂してきたが、CCSFをベースとすることでそれらのコスト、所要期間が大幅に短縮され、均一で齟齬が発生しない改訂が可能になる。次世代人材など、新たに人材像の策定をする場合も、指針が明確であり利用出来るコンテンツが用意できている。また、その場合の過不足を検証することで、CCSFを最新の内容に常に維持することができる
スキル標準を活用する側の対象について
 3スキル標準は、今迄明らかに企業活用を中心に考えてきました。発表されている事例を見ても企業での活用しかありません。
企業においては、それぞれビジネスモデルがあり、将来計画も異なり、ビジネス目標が違います。よって、1つの枠の中にはめるような提供の仕方をしても使えないというのが実情です。
さらにビジネス環境も大きく変わり、固定化されたものは使えないという判断をしている企業も目立ちます。当初は、枠にはめることで簡単に人材育成や評価ができるという誤解があり、IT企業の人材育成担当者が積極的に取り上げましたが、頓挫してしまう企業が多いのが現状です。特に中小企業はその傾向が強く、一方大手は、自社に合った形に作り直して使っています。

まさにこの点に答えたのがCCSFであり、各方面から評価を得つつあります。

 このように、企業での活用について時間はかかりましたが、CCSFが策定されたことで、スキル標準の活用を促進することができる状態になっています。後は、導入に失敗した企業や、そういった話を聞いて消極的になっている企業に対して、いかに効果的なプロモーションをかけていくか、ということに尽きます。

 一方で個人視点を主体とした共通指標としての活用については、プロモーションも含めこの10年間でほとんど手つかずになっていると思います。
 ここでの個人視点の活用(共通指標として)というのは次の観点です。

・企業に属していてもいなくても、個人が(IT企業に属している人はその枠を超えて)IT業界の中で何を目指して行くかや、自身のスキルアップのために何をすればいいかを具体的に知るために、共通指標としてスキル標準を活用することと定義できる。学生がIT業界で仕事をすることを前提に、スキル標準を利用することも範囲内(大学、専門学校、高校などのカリキュラムや講義内容を組み立てるのにスキル標準を利用することも含む)
・企業に属している個人が、用意されたものを使っているのは、企業活用と同じであり、ここでの個人視点には入らない。派遣業の企業で、与えられたものを個人が使っているのも同じこと
スキル標準の普及・促進策について
 今後の展開計画は官民共同で進める方向になっています。その前提で、現在考えられる施策について述べます。

<CCSF展開セミナー>
 現在はスキル標準ユーザー協会主催、IPA共催によるスキル標準ユーザーズカンファレンスが年1回開催され、CCSFを中心に最新情報の提供や事例紹介などを行っていますが、この地方版を何拠点かで実施することが有効だと思われます。
 さらに、IPAで作成中のシステムを使い、その場でCCSFを使ったスキル標準導入の体験をすることや、ワークショップを簡易化して多人数参加での実施も考えられます。

 また、先述のように今迄企業活用主体のプロモーションしかできていませんので、企業対象ではなく個人にフォーカスしたイベントを企画・実施する必要があると思っています。
 マイクロソフトで、大学生対象のイベントを年1回実施していますが、採用活動の側面があるとは言え、アーキテクトなどが出てきて将来プランを語ったりします。企業の枠は取っ払って、あの人のようになってみたいと、個人が夢を持てるような場を作っていきたいと考えています。

<地域戦略>
 全国を適切なエリアに分け、それぞれに推進担当者を置く。
九州地区では福岡情産協が、ワークショップ参加企業をベースにして盛り上げており、成功モデルになりつつあります。他のエリアでも、地域情産協や地域ソフトウェアセンターを核に、担当者の育成を進める必要があります。

<認定制度>
 共通指標として使いづらいのは、公的認定ができていないことも一つの要因だと考えています。レベル1〜3までは情報処理技術者試験による評価ができますが、レベル4以上はできません。調達に使うにしろ、個人が脚光を浴びる環境を作るにしても、認定制度の実現が不可欠です。
 なぜできないかという話は色々とありますが、これまでの10年間の実績から認定制度が実現しない限り、共通指標としては成り立たないと思っています。
産学連携
 今迄複数の大学にITSS活用を薦めてきましたが、結局教育ベンダと同じく職種のレベルに現状のカリキュラムをマップするしかなく、全く現実的なアプローチにならず、抽象的すぎてITSSは使えないという評価をされています。企業活用での反応とよく似たものでした。
 それに比べCCSFはカリキュラムの組み立てに使いやすくなっています。さらに、このスキルを持てば企業でのこの仕事に役立つというところまで見ることができます。

 展開の仕方については、大学や教授に押し付けても無理だし、学生の興味を引くようなものになどという抽象的なことも実現性に乏しく、大きな仕掛けが必要だと思います。
 現在、内閣官房で進めている人材育成計画の実施において、教育機関に対して具体的な施策の提示をすることが有効かと思います
登録:2014-01-12 14:10:24
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