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コラム
第74話:UISS/ITSS V2の導入手順〜その2 要求モデリング
 前回では導入プロセス全体の概要について書きました。今回から数回にわたって、導入手法をベースにしてそれぞれステップを解説していきます。
要求モデリング/Logic Tree
クリックすると拡大  「モデリング」と書くと、技術者の方はすぐにUMLなど具体的技術を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、ここではあくまで抽象化、または論理化とその組み立てと捉えます。
 導入における最初のステップ「要求モデリング」は、システム構築・上流工程の「要求分析」に相当します。システム構築での「要求分析」は、エンドユーザーのニーズをまとめ上げ要件定義をしますが、この場合は経営戦略、たとえば3ヵ年プランを元に3年後に必要な人材(目標人材)に対する要求をまとめる上げることになります。
 通常プランの中には、人材に関する記述は極端に少ないと言えます。数字や組織体制など企業のゴールについてのことは、多くを割いて定義されていますが、こと人材そのものに関しては、人材育成の必要性について少し触れている程度でしょう。ここでは、そのゴールを達成するために必要な人材についての用件を定義することになります。これはあくまで要求をまとめる段階であり、スキルを定義するのではありません。
 人材に関する要求モデルを作成する場合、ロジックツリーの考え方をベースにします。図は、1つ1つの要求を目的/手段の関係をつけながらツリー化(構造化)していくことを表しています。
要求モデリング/Objective Tree
クリックすると拡大  次の図は、ある企業で実際に作成した「要求モデル」の一部です。左側が人材に要求される一番の目的になります。この企業は、単にサービスやシステムなどを提供するだけではなく、クライアントであるユーザ企業に対して戦略的パートナーになることを目標と置いています。そのためにどのような手段があるかを、トップダウンで右方向に展開しながら、右から左方向にキーワードとなる具体的手段を、ボトムアップで積み上げて行っています。結果として理解しやすい当たり前のものになっていますが、ここまでシンプルにするには結構な時間を要します。IT関係の方々は、このようなシンプルなキーワードを論理的構造化したものの方が、文章などよりはるかに理解しやすいものです。 この成果物そのものにも意味がありますが、作成するプロセスで様々な議論を交わすことも同じくらい意味があります。共通認識ができ、方向性を整えることができるのです。
 過去の経験で、ものづくりを優先し、システム構築の上流、特に要求分析をおろそかにしたことによって、ひどい目にあった方々は、この必要性について嫌というほど理解しているはずです。同様に導入手順の最初であるこの「要求モデリング」ステップは、導入の成否に関わる大変重要な位置づけであることは間違いありません。
手法の捉え方
 このコラムを楽しみに愛読されている方々から、コンサルティングビジネスのネタをここまでバラして大丈夫なのかと、心配のお声をいただいていますが、全く問題ありません。何も隠さず殆ど全てをオープンにしていますが、実際に実施していくには経験と実績が必要になり、簡単にうまく進めることができるような内容ではありません。システム構築のメソッドと同じです。理解するのと自ら主体となってやってみるのとは、かなりの差があるのは確かです。論理的に作られた手法とはそのようなものです。
 次回は、タスクを抽象化してあるべき機能構造(To-Beファンクションモデル)を策定する「ファンクションモデリング」のステップの説明です。
▲▽ 関連サイト ▲▽
9月20日出版「ITSS V2の分かる本」
登録:2011-01-30 15:48:12
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